武者氏「米中貿易戦争はアメリカ完勝になる」 いずれ日米の株価は「もう一段の上昇」へ
しかし、本当にWTOの精神は正しかったのか、機能したのかということを、私たちは今一度、考える必要があると思います。WTOは、GATTの後を継いで誕生しましたが、先進国と新興国との間で対立が生じ、2001年から機能停止に陥り、現在に至っています。この年、WTOに加盟したのが中国でした。
結局、WTOが機能不全に陥っているなか、中国は国際貿易のルールを無視した形で経済規模を拡大し、アメリカを差し置いて覇権国家になろうとしています。アメリカがこれを看過するわけにはいきません。
かつて日本が、経済力でアメリカを追い越しそうになった時に行われたように、今度は中国に対して、アメリカは封じ込めを行おうとするはずです。
その中国と蜜月状態にあるドイツに対しても、トランプ大統領は厳しい目を向けています。ドイツは今、世界で最大の経常黒字国ですが、その積み上げられた黒字を、南欧諸国へのファイナンスに回しています。
これがドイツによる南欧諸国に対する金融支配につながるのではないかという懸念を、トランプ大統領は強く抱いています。ましてや自動車関税についても、EUからアメリカへのそれは2.5%であるのに対し、アメリカからEUへのそれは10%ですから、トランプ大統領が「アンフェアだ」と主張するのも当然でしょう。
言葉が悪く、従来の常識や手法を無視しているのでつい誤解されてしまいますが、トランプ大統領は、大統領として選挙民から委託された政策を、きちんとやっているのです。
勝負が見えた米中貿易戦争
とはいえ、問題は米中貿易戦争が、どこまでエスカレートするのかということでしょう。関税引き上げ合戦が止めどもなく進めば、世界経済にとって大きなマイナスになりますし、この点を懸念する人が多いのも事実です。もし、そのような事態になれば、日本の株式市場にとっても、ネガティブな影響が及びます。
しかし、そうはならないと思います。米中戦争は、アメリカの勝利で終わることは確実です。そもそも中国がここまで経済的に発展できたのは、アメリカから中国への巨額の所得移転が行われたからです。
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