アメリカ「Z世代」社会への底知れない影響力 銃規制がついに中間選挙主要テーマの1つに
ミレニアル世代は民主党を支持する傾向が強いが、高齢者に比べると極めて投票率が低い。2016年の大統領選挙でも、ミレニアル世代の投票率の低さが、トランプ大統領が当選した一因だといわれている。若者が主導する銃規制の強化論をきっかけに、ミレニアル世代の投票率が上昇すれば、民主党にとっては追い風となる。
今回の中間選挙でも、ミレニアル世代は盛り上がりに欠けている。公共宗教研究所が6月に行った世論調査によれば、18歳から29歳の回答者で「必ず中間選挙で投票を行う」と答えた割合は28%にとどまった。その一方で、共和党を支持する割合が高い高齢者では、同様の回答が7割を超えている。AP通信が18歳から34歳を対象に行った調査でも、「必ず投票を行う」との回答は32%となっている。
銃撃事件とともに生きてきたZ世代
もっとも、ミレニアル世代の投票率が3割程度に終わったとしても、民主党にとっては悪い話ではない。前回2014年の中間選挙では、18歳から29歳の有権者の投票率は16%にすぎなかった。60%近い水準だった65歳以上の投票率を大きく下回り、この選挙で民主党は上下両院で議席を減らしている。1986年までさかのぼっても、中間選挙における18歳から29歳の有権者の投票率は、21%を超えたことがない。
ミレニアル世代の盛り上がりの欠如は、Z世代には歯がゆいばかりだろう。米国では、1999年にコロラド州の高校で起こった銃撃事件が、学校における銃の危険性に対する認識を激変させたといわれる。つまり、1990年代後半以降に生まれたZ世代は、学校に通い始めた頃から、つねに銃撃事件に備えた避難訓練を受けてきたわけだ。ピュー・リサーチセンターの世論調査によれば、13歳から17歳の回答者の6割弱が、「学校で銃撃事件に遭遇するかもしれない」と恐れている。
たとえ中間選挙で民主党が勝ったとしても、銃規制の強化が一気に進むとは限らない。国政においては、銃規制の強化を支持する動きは、共和党にまで浸透しているわけではない。民主党の勝利といっても、下院での多数党獲得にとどまり、上院では共和党が多数党を維持する可能性が高い。いうまでもなく、大統領も共和党のトランプ大統領のままである。
夏休みが終わりフロリダに戻った高校生たちは、これから中間選挙に向けて、有権者登録の必要性を呼びかける運動に力を入れるという。Z世代の戦いは、まだ始まったばかりだ。
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