「嫁姑問題」解決するにはギリシャ男から学べ 妻と母親との絶妙なバランスをとるには

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ギリシャでは家族の絆がとても強いことは繰り返し書いてきましたが、お父さんは娘をかわいがり、お母さんは息子をかわいがる傾向にあります。また、ギリシャでは、伝統的に女性が強いのも特徴です。共働きが普通で、奥さんもそれなりにお金を持っていることに加えて、「子どもは宝。だからその子どもを産む母を大切にしないといけない」という考え方も影響しているかもしれません。

古代スパルタとペルシャの戦いを扱った『300<スリーハンドレッド>』という映画の中で、ペルシャに降伏するよう伝えに来た伝令の人を、スパルタの王様だったレオニダスが「This is Sparta!」と叫びながら穴に蹴り落とすシーンがありますが、蹴る前に奥さんに確認を取っています。ギリシャの女性が強いということをよく表しているシーンですね。

ギリシャで家族円満のカギを握るのは男性

それから、ギリシャ人の家族関係をよく描いている映画といえば、主演のニア・ヴァルダロス氏がギリシャにルーツのある女性と結婚したことを基に作成した『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』です。ちょっと大げさかなと思うところもありますが、ギリシャの家庭関係がよくわかる内容で、ギリシャ人としても「わかる、わかる!」と笑えるものになっています。

娘のトゥーラは、アメリカ人のイアンに恋をし、結婚したいと思うようになりますが、父親が反対し、落ち込んでしまいます。そこでお母さんはこんなことを言います。「男性は頭。女性は首。首は頭を好きな方向に動かすことができる」。やっぱり、奥さんの言うことには「NO」と言えないのですね!

ただ、女性が強いということは、問題が起こるのは女性が関係しているということでもあります。ギリシャでは、『ダブルキッチン』に出てくる花岡家のように、二世代が同居している家族も珍しくないですし、別々に住んでいるとしても近所にいることが多いので、高嶋政伸さん演じる忍さんのように、奥さんとお母さんの間に入る男性がポイントになります。奥さんから見ると旦那さん、お母さんから見ると息子です。

この男性がどうやって2人のバランスをとることができるかが、家族が幸せでいられるかどうかのキーになります。奥さん寄りになってしまうと親子関係が悪くなりますし、お母さん寄りになってしまうと離婚の危機となってしまいます。ちなみに、ギリシャの離婚率は37.5%(KATHIMERINI紙、2016年)だそうなので、ちょっとお母さん寄りになっているのかもしれません(笑)。

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