月収12万円で働く39歳男性司書の矜持と貧苦

勤続15年でも給与水準は採用時からほぼ同じ

ショウタさんは「オーバーワークの中で頑張っている正規公務員もいるので、彼らをバッシングするつもりはありません」と念押しする。そのうえで、選書や個人情報の取り扱いにおいて、正規職員のほうが軽率な対応をしがちなのは事実だという。

「市民からリクエストがあると、(嫌韓、反中などの)ヘイト本や、いわゆる萌え系の漫画などを必要以上に購入する職員もいます。市民にとって必要かどうかよりも、(リクエストした)市民からクレームを受けることを心配しているようです。

利用者がどんな本を借りたかについては、たとえ家族でも本人以外からの問い合わせに答えるべきではないのですが、正規職員が安易に対応してしまったケースもあります」

「労働組合」に助けられてきた

これまで、ショウタさんは働き続ける中で、たびたび労働組合に助けられてきたという。

10年ほど前、祖母の体調が悪化。ちょうど同じころ、労働組合が自治体側に働きかけ、非正規職員も介護休業を取得できるよう、制度を整えたのだという。これにより、当時はまだ働いていた母に代わり、ショウタさんが休暇を取ることができた。

「祖母に最期の恩返しができたのは、労働組合のおかげ」。ショウタさんはこれをきっかけに労組に加入。最近は、非正規職員たち自らが中心となって自治体側と交渉し、有給休暇の時間単位取得を実現させた。すでに、非正規職員向けにこの仕組みを導入している市町村の実例を調べて提示することで、当初、消極的だった自治体側を動かしたのだという。

「自分たちの労働条件を改善するのに、棚ぼたで待っているだけではダメなんです」とショウタさん。もっと大勢の同僚に組合員になってほしいが、雇い止めの心配もあるのだろう、なかなか加入にまでは至らない。それでも、非組合員の同僚が子どもの学校行事や通院のために、時間単位で有休を申請している姿を見ると、誇らしい気持ちになるという。

ちなみにショウタさんが加入しているのは、個人加入できるユニオンである。正規公務員を中心とした自治労や自治労連傘下の労組ではない。職場には、自治労系の労組があるが、まだ彼が採用される前、雇い止めにされそうになった女性の非正規職員がこの労組に相談したところ「パートのおばさんのことなんて知らない」と門前払いされたのだという。

次ページ2020年から事実上「毎年解雇」となる
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