強気を崩さぬ資生堂の世界ブランド戦略
資生堂が海外向けの中核ブランドを大幅刷新する。対象となるのは、スキンケア、メークアップなど複数のラインからなる「グローバルSHISEIDOブランド」。2009年1月発売のメークアップ製品を皮切りにラインの名称を「SHISEIDO」に統一し、来秋以降スキンケア製品も順次発売する。
「10年後に真のグローバルプレーヤーになるための第1ステップ」。会見で前田新造社長は声を弾ませた。
資生堂は海外で「クレ・ド・ポー・ボーテ」など複数ブランドを展開するが、海外売り上げの中核となっているのが「グローバルSHISEIDOブランド」。同ブランドは1980年代に投入され、マーケティングもブランド内で統一して行っていた。だが、各々のラインの特徴を出すため、後に販売戦略を別々にした経緯がある。
その結果、「売り上げは毎年順調に伸びてきた」(前田社長)が、国内化粧品市場が頭打ちの中、海外事業のさらなる飛躍のためには再度ブランドを刷新し、認知度を高める必要があった。
前途には不透明感も
資生堂は現在、中国市場を中心に海外事業強化を急いでいる。08年3月期に36%だった海外売上高比率は、11年3月期には40%に伸ばす計画。さらに10年後に売上高1兆円、そのうち半分以上を海外で稼ぐ、という計画も今年4月に掲げている。そうした海外戦略の中心を担うのが、新「SHISEIDO」ブランドというわけだ。
新ブランドはトレードマークの「花椿」や共通ロゴを採用。「使い心地のよさ」など資生堂ならではの強みを追求する。「アジアを代表するグローバルブランド」(前田社長)のイメージを確立し、2年後には売上高1000億円を見込む。
だが、華々しい計画とは裏腹に、前途には不透明感も漂う。目下、金融危機を背景に世界的な消費低迷が見込まれ、「不況に強い」とされる化粧品でさえ影響を受けることは必至。それでも、「(10年後の目標達成に向けた)基本戦略を徹底して推進していく」と前田社長は強気の姿勢を崩さない。
新興国の需要が旺盛な中、海外戦略の手綱を緩める必要はない--。はたして資生堂の強気計画は吉と出るか。
(倉沢美左 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)
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