欧州の鉄道「スピード最優先」の時代に終止符

イタリアは時速350km運転を無期限延期

2018年現在、世界最速の列車を運行するのは中国高速鉄道で、すでに時速350km運転を実現している。中国がなぜ、いち早く350km運転を実現できたのか、それは偶然でもなんでもなく、ある意味当然の結果と言えるかもしれない。

まず、中国は圧倒的に国土が広く、離れた主要都市を結ぶ高速列車は停車駅間の距離も長い。発車と停止の繰り返しが最もエネルギーを消費するので、高速運転を行ううえでは最高速度をどれだけ維持できるかが重要な要素となってくる。欧州ではそもそも主要都市間が何百キロと離れているわけではないため、必然的に時速350kmを維持できる区間が短くなり、メリットがあまりない。その点、中国は国土そのものが高速運転に適した土地だったと言える。

また、中国が高速鉄道建設において後発だった点も、高速化に有利だったと言える。建設された各路線とも、バラスト飛散の心配がないスラブ軌道を全線の90%以上で採用、複線の線路中心間隔も、欧州の多くの国は4.2~4.8mと狭いが、中国では全線で5m間隔となっている。

中国では、さらなる高速化を研究しているようだが、そうなるともう鉄車輪である必要はなくなり、それこそリニアが最適な選択肢の1つとなるのではないか。アメリカもそうだが、リニアは数百キロ程度の短区間を結ぶものではなく、広大な土地があり1000キロ単位の区間を運転することで、その真価を発揮できるのではないだろうか。

中国は上海空港へのアクセス用として、ドイツからトランスラピッド(常電導磁気浮上式リニア)の技術を取得したが、本国ドイツでは実現せず早々に手放したこの技術が、いずれ中国国内の都市間輸送で日の目を見るかもしれない。

欧州は今後どうする?

話を欧州へ戻すと、この先欧州の高速鉄道はどのような方向性へ進んでいくのだろうか。

イタリアは当面、時速350km運転計画の無期限延期を表明したが、これを再開するためには、一部に点在するカーブ区間を改良するなど、350kmをある程度維持できるための路線改良が必要となってくるだろう。だが、そのためには土地収用も必要となってくるため、かなりの時間と労力を費やさなければならず、現実問題としては厳しいと言える。

フランスやドイツは、現時点では計画路線の大半が完成に近づきつつあるので、今後、既存路線の改良を行うかどうかが焦点となってくる。

次ページ欧州最速のフランスも既存路線高速化は困難
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