セブンの「生ビール」がそもそも困難な理由

事前の反響を受け試験販売もいっさいできず

私は、そもそも「品質を維持できるレベルにない」以外に、セブンの生ビール販売のハードルが高かった理由は3つあったと考えている。

(1)未成年への酒類販売防止

ちょっと前、たとえば20年前であれば、未成年でも酒類を購入することは容易だった。居酒屋でも、未成年にしか見えないひとたちが、大学の新歓コンパで飲酒していた。しかし、いまでは身分証明書を求められるし、コンビニでも「未成年ではないボタン」を押さねばならない。

たとえば購入者が20歳以上だと偽って、酒類を購入したらどうなるだろうか。一義的には購入者が悪いように思えるものの、実際は、店側がその罪を問われる。そこで「未成年者飲酒禁止法」を見てみよう。

未成年に酒類を販売してしまったら、「違反シタル者ハ五十万円以下ノ罰金ニ処ス」とある。50万円とは、おおむねコンビニエンスストアの1日当たり販売額と近い。粗利益となると、もっと低い。つまり、販売機会が増え、そのぶん未成年に販売するリスクが急上昇することになる。さらに、最大で50万円の罰則となると、それは数日のタダ働きと同じになるのだ。

未成年への販売をちゃんと抑制できるか

混雑する店舗では、未成年であるかの確認時間が取れないことも予想される。また、そのチェックの確実性も疑問視されるだろう。とくに、缶ビールと違って、生ビールは、その場で飲むはずで、言い訳がきかない。

(2)飲酒運転対策

同時に、販売側には、飲酒運転の対策もある。

警察の資料によると「主な飲酒場所は、居酒屋などの飲食店が約57%を占める」「飲酒終了から死亡事故発生までの経過時間は、飲酒直後から1時間までが最も多く発生している」とある。つまり、セブン-イレブンは、飲酒死亡事故の「拠点」となるリスクを有していた。

また、警視庁のマニュアルによると「まず、お客様が車で来たかどうかを確認しましょう」からはじまり、「飲酒したお客様が『運転代行の利用』や『家族等の迎え』がなく運転して帰ろうとしていないかを確認しましょう」とあり、これを多忙なコンビニエンスストアが完全に遂行できるかは不透明だ。

さらに道路交通法によれば、第65条に「車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない」とある。この“おそれ”がやっかいだ。缶ビールとは違い、すぐさま飲むことを目的としている生ビールに対して、これをコンビニチェーンが規定化できるだろうか。

おなじく「酒類の提供・車両の同乗者」には運転者の酒酔い運転に対し、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」とある。

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