日本とフランス、「飲み会」はこんなに違った 仕事の時と違う顔を見せるなんてありえない

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くみ:日本は一般的に、職場ではまじめにしていないといけないから、その反動で、飲み会でアルコールが入ってリラックスしたときに、職場とは別の顔をさらけ出せたり、良くも悪くもお酒を口実に少し態度が変わる、ということが当然のこととして受け止められている気もする。

エマニュエル:Potはいつもスピーチから始まるってさっき言ったけど、まず当事者の上司や同僚のお祝いのスピーチがあって、それに対する返答としての感謝を述べる当事者のスピーチが続くのがお決まりになってるね。

実は、僕は昔このPotのスピーチの例文集を本にして出版しようかなって考えたこともあるんだ。フランス人でも、意外とスピーチが苦手というか、どうやっていいスピーチをしたらいいかわからない人って結構いるんだよね。だから、たいていお祝いされる人と、お祝いのスピーチをした人に「スピーチお疲れさま」の意味を込めて贈り物が贈呈されるのも決まりになってるよ。

Potには休憩や息抜きの意味もある

くみ : 言われてみれば、Potって流れが決まっているね。飲み会も、歓送迎会や誰か特定の人をお祝いする会なら、始めと終わりに簡単なあいさつをすることもあると思うけれど、改まったパーティや会合でなければ、複数の人が長々とスピーチをする、ということはないわね。

エマニュエル:それにPotって就業時間に行うから、休憩や息抜き的な役割もあるんだよね。送別会を仕事の時間にするからといって仕事をさぼっているって感覚がないから。

くみ:確かにそこも日本とは違うわね。業種にもよると思うけど、就業時間中にアルコールが入る集まりを会社でするところはあまりなさそう。日本は管理する側もされる側も、就業時間という概念に忠実かもね。「就業時間中は基本、仕事に集中していないといけない」と思っているイメージかしら。

エマニュエル:もちろんPotを通して社員同士がリラックスした雰囲気で交流することで、職場のコミュニケーションの促進を図ることにもつながるよね。ただ、飲み会はそれをいちばんの目的としているのに対して、Potはあくまでもお祝いをすることが最大の目的だというのが大きな違いかな。以前の会議についての話(日本とフランス、会議の目的は大違いだった)でも言ったように、職場のコミュニケーションは会議だったり、昼食だったり廊下での立ち話なんかの時間などいろいろな時間にできるからね。

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