退職金をもらう時「絶対やってはダメなこと」 銀行から電話が来たら、どうすればよい?
ましてや、外貨建て保険には為替リスクがあります。たとえば2017年の米ドルの為替を見ると、1カ月ごとの平均レートは年初114円で、年末は112円で推移しました。仮に10万ドルの契約を年初にすると一括で支払うおカネは1140万円です。その後年末のレートが112円となると、日本円での価値は1120万円に下がってしまいますから、いくら1.5%の金利がついたとしても為替の変動にはおいつきません。
さらにその商品は為替手数料も含まれており、1ドルあたり1円でした。つまり1ドル114円で購入するのではなく、1円の手数料をオンして115円出して買うのです。また売るときも1ドルあたり1円の手数料を支払います。10万ドルを買うのに10万円かかり、解約時に元本が保証された10万ドルを円に戻すときにまた10万円が手数料として差し引かれます。
退職金を税金面から考えてみる
退職金の活用方法は、銀行だけが解を持っているわけではありません。ぜひいくつかを比較検討して決めてほしいものです。たとえば発想の転換で、退職金の「使い方」の工夫で得する方法もあります。税金面から考えると、一時金で受け取る退職金はとても優遇されています。勤続年数20年までは1年あたり40万円の退職所得控除が設けられます。そして20年を超えた勤続年数には1年あたり70万円の控除です。つまり、38年勤めあげると2060万円までは非課税で受け取れますし、控除しきれない分はさらに2分の1されてから課税です。
こうして有利に受け取った退職金を、限度一杯である「毎年40万円」ずつ、つみたてNISAの口座にいれていきます。つみたてNISAで投資信託を非課税で運用できるのは20年間ですから、この40万円プラス運用益は20年後に引き出し生活費に充てます。自分の口座から引き出しておカネを使う分には、所得税や社会保険料がかかりません。下手に個人年金保険などにして、少しばかりの利息に課税されるよりよほど効率良く「自分年金」が作れます。つみたてNISAなら金融庁の指定した条件をクリアした投資信託のみが選択肢です。購入手数料がゼロで一般消費者の長期資産形成に適した商品のみがセレクトされているという安心感が違います。
また、退職金には「一時金で受け取るもの」と「年金形式で受け取るもの」があります。年金形式で受け取るものであれば、ぜひ60歳から65歳までの公的年金控除の枠を有効に使いたいものです。年間70万円までの年金は非課税ですし、それ以上についても段階的に課税されるので、その他の収入よりも税金は優遇されています。
国民年金と厚生年金の両方、あるいは一方を繰り下げるのも手です。公的年金は1カ月繰り下げをすると0.7%ずつ年金額が増えるという特典があるので、公的年金を70歳まで繰り下げ42%増の恩恵を受けられます。そして、空いた公的年金控除の枠に、年金形式の退職金を充てできるだけ税金を払わずにおカネを使うのです。65歳以降の公的年金控除は年間120万円まで非課税ですから、ここを有効に使わない手はありません。
最も大切なことは、退職金の活用はズバリ「焦らないこと!」です。退職金だからといって特別にパッケージされた金融商品はありません。じっくり比較検討をすればいいのです。今回のお話をぜひ参考にしていただければ幸いです。
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