元日本代表・廣瀬が語る「ラグビーW杯」の期待 アジア初の開催国となった日本、成功の鍵は?

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日本で開催するW杯の意義を語った廣瀬氏(撮影:今井康一)

公益財団法人ラグビーワールドカップ2019組織委員会が掲げる観客動員目標は180万人。観戦チケットの先行販売は今のところ、順調という。組織委は8月1日まで、大会運営を支える人材をビズリーチのサイトで公募している。

廣瀬も今は指導者を離れて、組織委の一員だ。「JRFU(日本ラグビーフットボール協会)連携・レガシー局 ラグビーサポート部 主任」が現在の肩書である。

「現役選手を呼んだラグビーの体験会など、普及のためのイベントをJRFUとともに開催している。2019年以降、ラグビーに関心のある人を増やすことが、まさにレガシーの形成。"野球、サッカーの次はラグビー"となれば、日本でW杯をやる意味があると思う」

「ティア1」に属する国同士のテストマッチなどを見ていると、「観戦にも文化がある」ことに気づく。自然発生的に観客が応援歌を合唱。やがて歌声は1つになってスタジアム全体を包み込み、自国チームを鼓舞する。

「ティア1」の国以外で初めての開催となる2019年W杯。3回にわたってW杯に出場した廣瀬は、日本人のラグビー観も変えたいと意気込む。

「1995年の南アフリカ大会では黒人居住区の子どもたちにラグビーを教えに行った。当時はまだ、ラグビーは白人のスポーツ。黒人の子どもたちはボールを持つのも初めてだったが、タッチフットをやったら負けた。足の速さや能力の高さに驚いた」

ラグビー文化定着に向け奮闘する日々

「1999年の(ウェールズ中心に開かれた)大会ではやはり、イギリスならではのホスピタリティを強く感じた。街じゅうで皆が声をかけてくれ、街中の飲食店に入ったらスタンディングで迎えてくれた。

2003年の大会では対スコットランド、フランスと善戦を続けるうちに、“自分のチーム”といった感じで滞在していた地元の人が受け止め、残りの試合はホームで試合しているような雰囲気をつくってくれた」

大会まで500日を切っている中で、日本大会を成功に導くのが組織委員会のミッションだ(撮影:今井康一)

6月23日に愛知の豊田スタジアムで行われた日本対ジョージアの観客数は1万4776人。同スタジアムの収容人員は4万5000人である。

天候不順だったとはいえ、やや空席が目立ったのは事実だ。

それでも、2019年W杯の日本戦チケットはかなりの人気。

むしろ、日本戦以外の集客が大会成功のカギになりそうだ。大会まであと1年あまり。ラグビー文化定着へ廣瀬は走り続ける。   

(文中敬称略)

松崎 泰弘 大正大学 教授

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まつざき やすひろ / Yasuhiro Matsuzaki

フリージャーナリスト。1962年、東京生まれ。日本短波放送(現ラジオNIKKEI)、北海道放送(HBC)を経て2000年、東洋経済新報社へ入社。東洋経済では編集局で金融マーケット、欧州経済(特にフランス)などの取材経験が長く、2013年10月からデジタルメディア局に異動し「会社四季報オンライン」担当。著書に『お金持ち入門』(共著、実業之日本社)。趣味はスポーツ。ラグビーには中学時代から20年にわたって没頭し、大学では体育会ラグビー部に在籍していた。2018年3月に退職し、同年4月より大正大学表現学部教授。

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