イオン、ウナギの代替で豚バラ肉を売る事情 小売り大手が挑む「資源保護」の取り組みとは

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ニホンウナギの深刻な不漁で、販売価格の高騰が懸念される(写真:ささざわ / PIXTA)

二ホンウナギについてはトレーサビリティ(生産履歴の追跡可能性)確保を徹底する。イオンは現在、養殖池に入れた後のウナギについてはトレースしているが、生態が不明瞭で、かつ流通経路が極めて複雑な稚魚まではトレースできていなかった。

WWFジャパンなどとの共同によるインドネシアウナギの保全プロジェクトで得るノウハウを稚魚のトレースにも応用する構えで、2023年までに100%トレースできるウナギのみを扱えるようにすることを目指す。イオンの三宅香執行役は「日本のウナギ文化をいかに守っていくのかが、企業にとって重要だ」と強調する。

求められる他社との連携

ただ、一連の取り組みを効果として発現させるためには、数多くの課題がある。WWFジャパンの山内愛子氏はインドネシアウナギの保全プロジェクトについて、「ウナギは、供給持続の可能性を探るのが最も難しい種の1つ。生態が不明なだけでなく、漁業者も零細企業が多くて実態がつかみづらい」と話す。

イオンリテールの水産商品部担当者も「二ホンウナギに代わる種として期待するインドネシアウナギを保全していくが、それでも全体に占める約30%の販売量を維持していくのがやっとではないか」と吐露する。

稚魚についても、イオンの1社だけでは到底実態をつかめないため、他社との連携が求められるが、具体的な提携先は現時点では決まっていない。日本人が好むウナギを食する文化を維持していく取り組みに期待が高まるが、危機的状況を打開するまでの道のりは容易ではなさそうだ。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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