日銀短観、大企業製造業は2四半期連続で悪化 大企業の設備投資計画は前年比13.6%増
[東京 2日 ロイター] - 日銀が2日発表した6月全国企業短期経済観測調査(短観)よると、大企業・製造業の業況判断DI(良い─悪い)は前回比3ポイント低下し、5年半ぶりに2四半期連続で景況感が悪化した。
原材料高や円高懸念などが減益幅の拡大見通しに影響した可能性がある。金融市場では貿易摩擦に対する警戒感が強いが、企業の声としては限定的だった。
大企業・製造業のDIはプラス21で、ロイターがまとめた民間調査機関の予測プラス22を下回った。素材業種に加え自動車の景況感悪化が目立つ。先行きはプラス21と横ばいとなった。
日銀調査統計局の幹部によると、製造業の業況判断悪化の背景ついて、企業は原材料価格の上昇や、それを販売価格に転嫁できていないことなどを指摘している。
大企業・製造業の仕入価格判断DI(上昇─下落)はプラス30と前回調査から4ポイント上昇する一方、販売価格判断DI(同)はプラス5と1ポイントの上昇にとどまった。
想定為替レートは2018年度通期で前回の1ドル109円台から今回107円台に円高方向への修正となった。製造業は全規模で売り上げが上方修正されながらも、収益計画は6.6%の減益へ下方修正された。
他方で、大企業非製造業の業況判断DIはプラス24と前回から1ポイント上昇し、4四半期ぶりに改善した。事前予想のプラス23を上回った。小売りの景況感が2桁悪化したほか、通信も大幅悪化したが、対個人サービスや宿泊・飲食サービスが大きく改善した。先行きはプラス21へと悪化が見込まれている。
<設備投資は高い伸び>
米国の通商政策めぐる貿易摩擦については、はん用機械や生産用機械など一部の企業から先行き判断で懸念する声があったものの、全体として「それほど多くはない」(調査統計局幹部)という。
しかし、金融市場からは下振れするリスクを挙げる声も聞かれる。みずほ証券のチーフマーケットエコノミスト、上野泰也氏は、貿易摩擦への懸念が「思ったよりも反映されていない印象」としつつ、「トランプ米政権の保護主義政策の展開に伴う強い先行き不透明感は、海外での製商品需給判断を今後圧迫していくとみられる。売上・収益計画において先行きの下方修正含みと言わざるを得ない」と指摘する。
製造・非製造業を問わず、高い伸びとなったのが設備投資。大企業・全産業の2018年度の設備投資計画は前年比13.6%増となった。民間調査機関の予測の同9.3%増を上回った。ようやく動き出した設備投資計画は、人手不足や世界的情報化の進展を反映して、製造・非製造業ともに過去の6月調査と比較しても高い伸びとなっている。
*内容を追加しました。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら