自由を謳歌し始めたサウジの女性たちの実像 民族衣装「アバヤ」もジワリと変わり始めた

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「政府の後押しのおかげで、女性はより多くの権限を与えられたような気がします。『走り回ってもスポーツを楽しんでもいいんだよ』と政府が言ってくれているんですもの」とジョハルジーは話す。「でも、このままの動きのない社会ではなく、より積極的な動きのある社会に変わらなければなりません」。

2007年、ランニングやサイクリングの為に作られたアバヤの少なさに我慢できなくなったジョハルジーは、自らアバヤをデザインした。最初は友人たちのために作り、「スポーティーアバヤ」として販売を開始した。

ペダルが踏みやすいように丈は短めに

カラフルな商品棚には、それぞれ異なる目的用にデザインされたアバヤが並ぶ。自動車運転用アバヤにはフードが付いており、ハンドル捌きの邪魔にならないように肘部分がタイトな作りになっているほか、ペダルが踏みやすいように丈は短めに作られている。

ジョハルジーにとって一番大切なことは、黒色が含まれていないということだ。ジョハルジーは「これらのアバヤが象徴するのは自由と、人生を楽しみたいという希望です。現代の女性にぴったりです」と語る。「それに、女性は色鮮やかなほうが好きですから」。

サウジアラビアの厳格な社会規範は今後も緩和され続けるはずと、ジョハルジーは楽観的に見ている。しかし彼女は、少なくない女性が、今後も何らかの形でアバヤを着続けるとも考えている。

ジョハルジーにとっては、アバヤとはインドのサリーのようなものであり、宗教ではなく文化を象徴するものなのだ。「保護のための衣装です。アバヤは日差しと悪い男から女性を守ってくれるんです」とジョハルジーは話した。

(文:アヤ・バズマ、ナタリー・トーマス)

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