日本株を売るヘッジファンドは、敗色濃厚か 6月後半相場は「売り」「買い」どっちが勝つ?
米国のトランプ政権は6月15日朝、中国の知的財産権侵害などへの制裁として、総額500億ドル(約5兆5000億円)の中国製品に対し約25%の輸入関税をかけると明らかにした。7月6日から段階的に発動される見通しだ。これに対し、中国も同規模の関税で報復すると表明し、心配されていた「米中貿易戦争」が本格的に始まった。22日に開催されるOPEC総会を前にして、先週末は原油先物も下落している。当然、今週はいったん敗れた売り方ヘッジファンドが、再び売り攻勢をかけてくる可能性があり、梅雨寒の1週間になるかも知れない。
しかし、米国の強い景気指標を受けてドル円相場は1ドル=110円半ばから後半に戻っている。相場の変動の度合いを反映するVIX指数(シカゴのオプション取引所が算出、いわゆる恐怖指数)などは最低水準で安定している。また、日米欧の金融イベントも終わり、落ち着いた動きになっている。
6月後半の相場も、ヘッジファンドが上げに「貢献」?
つまり、適温相場が再び訪れていることを見逃してはならない。日経平均が、中期投資の基準である75日移動平均(2万2000円)を大きく割り込まない限り、ここでたまった売り玉が、再び次の相場の上昇エネルギーになる。
今2018年度における上場企業の業績見通しは前期比売上高2.7%増、経常利益1%増、純利益2%減となっている。だが6月7日に発表されたQUICK企業価値研究所の予想では、ドル円107円を前提にしても、経常利益は8.3%増、2019年度も9.4%増となっている。また三菱UFJモルガン・スタンレー証券でも売上高2.4%増、経常利益7.3%増、純利益1.2%増だ。さらに8日に出たSMBC日興証券予想でも、ドル円105円前提で経常利益7.8%増となっている。ドル円が110円台に定着すると、この数字はさらに伸びる。
企業側も、6月12日発表の第57回法人企業景気予測調査(調査時点5月15日)において、大企業景況判断BSI(「上昇」-「下降」社数構成比)を1-3月+3.3%(10-12月より低下)、4-6月-2%の後、7-9月見通し+6.9%、10-12月見通し+7.9%となっている。
つまり前述の2018年度2%減益という企業側の保守的な見通しは、1-3月、4-6月と下げトレンドの延長線上で予測したものだと言う事が分かる。早ければ、第1四半期決算発表(7月末―8月)、遅くとも第2四半期決算発表(10月末―11月)で増額修正ラッシュになる可能性がある。
もし、今週が梅雨寒相場となったとしても、下げは限定的で「売りが溜まるだけ」と、余裕を持って眺めていたい。その後の6月後半も、次第に買いが優勢となり、売り方が作ってくれそうだ。そして、それは7月、8月のサマーラリーへと続く可能性がある。
今週の日経平均予想レンジは2万2500円―2万3000円とする。
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