米朝首脳会談を批判する人に欠けている視点 それでも行われたことに意義がある
トランプ大統領は金委員長に力を与えなかった。敵と会うことは妥協ではない。外交は米国が世界のリーダーとしての自分の立場に振りまくことを選べる合法的な魔法の粉というわけではない。首脳会談は好むと好まざるとに関わらず、核兵器で武装した国を治める70年間の金一族のルールという現実を認めたのだ。
トランプ大統領が首脳会談において和平プロセスを開始すると決断したことには価値がある。首脳会談を米国が、特定の国の「よい振る舞い」に対して行うことのできる、ある種の「褒美」だと考えるのは傲慢すぎる。そうした考え方の政権が続いたことで、北朝鮮が水爆と米国まで届くミサイルで武装し、恒久的な戦争状態を生み出したのだ。こうした状況では、トップダウンのアプローチ(中国が実際の歴史的な例となる)をとるのが賢明である。
トランプ大統領がすべきこと
今するべき一番簡単なことは、首脳会談を総称的に扱わないことだ。北朝鮮は約束を破るだろうし、トランプ大統領がツイートをやめることはないだろう。そして、難しいのはこの次何があるのかを注意深く見通すことだ。
米国は非核化を促す必要がある。2015年のイラン合意が1つの例だ。制裁は緩和され、貿易は加速し、資産凍結は解除され、実験、製造、そして核分裂物質の保有を削減するすべてのイラン側の手続きは実現していない。もう1つの例は、1993年に遡る。ワシントンがベラルーシ、カザフスタン、そしてウクライナに対して大量破壊兵器の申告、破壊、そして最終的な廃棄に対して財政的な報酬を与えたのだ。職を失った原子力科学者に対しても新しい仕事を与え、技術を他国へ売ることを防いだ。
何よりもトランプ大統領は金委員長に自分を信じさせなければならない。とりわけイラク、リビア、そして特にイランを考慮する必要がある。ここでの中心的な問題は大変重要だからだ。歴史上唯一自国で核兵器を開発した、南アフリカの少数派白人政府でさえ、それを完全に諦めたのだ。そして、それはアパルトヘイト制度が歴史から消えようとしていた頃だった。
トランプが左派の忠告に従っていたら、これまでの大統領と同じように外に出ることはなかっただろう。右派の意見を聞いていたら、金委員長の部屋に突っ込んでこう言っただろう。「核を捨てろ、以上だ」。そして、非核化プロセスは完全に失敗しただろう。
北朝鮮が核兵器を開発したのは、金一族存続のためだ。米国と韓国が北朝鮮に核兵器を諦めさせたいのなら、金政権を存続を保証する何かと交換する必要がある。首脳会談はプラットフォームを作った。次に何が起こるかは、トランプ大統領、文大統領、そして金委員長がどうやって問題の解決に向けて取り組むかにかかっている。
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