摂食障害だった女性が語る「過食嘔吐の絶望」 「カビの生えたパンも平気で食べた」
第1回:摂食障害で25キロに「客観的に見たらミイラだった」少女が語る狂った毎日
「将来が見えないまま20歳になるのが怖くて、19歳の夏に本で読んだ薬とお酒を飲んで自殺を試みました」
死んだほうが親孝行だ
14歳で拒食症になり、過食と下剤乱用に転じてもなお、“摂食障害”という悪魔は、その手を緩めることなく、彼女の心と身体を傷め続けた。
私市奈央さん(39)は、当時の心境を静かに振り返る。
「死のう、と思ったとき、私はやっぱり親のことを考えていたんです。私が死んだら親は悲しむだろう。でも、私がこれ以上、親の期待するような人間になれないまま生き続けることのほうが、ずっと親をガッカリさせ、悲しませるのではないか。そんな人間は、死んだほうが親孝行だ、と」
それから数日間、意識が混沌としたまま寝込んでいたが、「母親は気づいていなかっただろう」と奈央さんは言う。それほどまでに、自分の部屋に引きこもっていることが多かったからだ。
青山高校を中退してからも、彼女は「親が望む人生に戻らなければ」と必死だった。大学受験資格を得られる“大検”の勉強にいそしみ、合格したときは両親を喜ばせた。
「けれど、私は再び空っぽになりました。高校受験のときもそうでしたが、親のため世間体のためだけの勉強は、ゴールに到達したら、何もない。虚しさしか残らないんです」