摂食障害だった女性が語る「過食嘔吐の絶望」 「カビの生えたパンも平気で食べた」

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それまで、アルバイトに行けるほどには体力も気力もあった奈央さんだが、過食嘔吐するようになってからは、崩れ落ちるように、日常生活が送れなくなっていった。

「昼夜逆転で、起きてから買い物、過食、嘔吐、ネットを見て寝る、というのが私の1日のサイクルでした」

過食する食料を大量に手に入れるためにスーパーの安売りを狙い、そこから異常なほどの買い物依存が始まる。

「スーパーの安売りの時間が近づくと、今日はちゃんと買い占めることができるだろうか、という不安と喜びで、いても立ってもいられなくなりました。自分の部屋は、足の踏み場もないほど食べ物であふれ、そのにおいが充満し、過食をするベッドと、ネットをするパソコン周辺だけに座れるスペースがありました

やがて家族が使う冷蔵庫や貯蔵庫も食べ物でいっぱいになるが、どれだけ買ってもストックがなくなる恐怖に怯え、期限切れでカビの生えたパンも平気で食べるようになった。

「美味しいと感じるのは最初の30分くらい。それからは甘い菓子パン、ポテトチップス、アイス、カップ麺など、ただ甘いとしょっぱいを繰り返し食べて、胃がはちきれそうになったら吐く。

そして胃が空っぽになったらまた食べる。その繰り返しで、毎日12時間は食べ吐きを続けるうちに、やがて疲れ果てて眠る。そうして1日が終わるんです

その常軌を逸した無限のループを止めたくて、「明日はもうやめよう」と心に誓う。

「けれど、次の日になるとまた買い物をしたい衝動を止めることができませんでした」

言動がどんどんエスカレート

25歳のとき、自分の部屋で2度目の自殺を図るが、紐が切れてドスンと身体が下に落ち、未遂に終わった。

「死ぬことさえもできない、自分の存在は、この世でいちばん汚らしいと思いました」

両親は彼女がしていることをすべて知っていた、と言う。

「けれど、怒ることもやめさせることもせずに、ただ娘を哀れに思い、絶望し、恥じ、何をどうしていいか、わからなかったのだと思います」

親に放置されたと感じることで、奈央さんはさらに自分を追い詰めていった。

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