摂食障害だった女性が語る「過食嘔吐の絶望」

「カビの生えたパンも平気で食べた」

行きたい大学もなく、アルバイト生活に入った。しかし、高校中退のままフリーターになっている自分への猛烈なコンプレックスに苛まれ、より一層、周囲との人間関係がとれなくなっていく。

1994年、家族旅行の軽井沢で。すでに拒食は始まっていた(写真:週刊女性PRIME)

「地元で小中学校の友達に会って、いま何をやってるのかと聞かれるのが怖かった。バイト先でも、大学に入るためにお金を貯めているとか、夜間の予備校に行っていると嘘をついて。架空の夢やプロフィールを演じるのに疲れると、バイトを辞めていました」

それでもアルバイトで200万円を貯め、そのお金でデザインの専門学校に行くが、1年半で挫折。さらに、動物の専門学校に通うなど、「夢」を求めてあがき続けた。

「なぜ私だけがこんなに青くさい悩みを持っているんだろう、と思いました。同じ年代の誰もが、疑問を持たずに高校・大学に行き、友達や恋人をつくり、社会の流れに乗っているように見えました」

「吐けばなかったことに」

強烈なドロップアウト感が、「おまえは生きる価値がない人間だ」と、親だけでなく世間からも蔑まれているように感じた。そして自殺未遂の末、彼女は、さらに越えてはならない「一線」を越える──。

「どれだけ過食しても吐けばなかったことになる。私は、夢のような手段を手に入れたと思いました」

24歳のとき、初めて「一線を越えた日」のことを、奈央さんは鮮明に覚えていた。

「それまでは過食をするといってもクッキーやスナック、菓子パンなど、おやつ系のものばかりでした。ある夜、突然、それまで抑えていた“こってりしたものが食べたい!”という強い衝動に駆られてコンビニに走りました」

ドリアやミートソース、カップラーメン、ドーナツなど夢中で食べた。しかし、そのあとに猛然と湧き上がってくる後悔と焦り。そして……。

「水をたくさん飲んで、最初は恐る恐るのどの奥に指を入れました。すると、まったく苦しむこともなく、さっき食べたはずの高カロリーの食べ物が一気に吐き出されたとき、私は快感さえ感じていました。

吐くことを覚えた私は、さらに食欲を抑えられなくなり、過食の量と頻度は加速度的に増えていきました

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