引きこもりが救う?コンテンツ輸出の世界戦略 角川歴彦×川上量生対談(4)

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川上:まあ、ちょっとこじつけかも(笑)。確かにそうなのですけれども、現実にはたいてい無理なんですよね……。それができないのが多くのゲーマーなのかもしれません。

角川:そこで、ちゃんとまた言葉が用意されているんだよ。「僕自身もかなりのゲーマーだと自負していますが、世の中でいちばん面白いゲームは何かといえば、それは『現実』だと考えています」と。「ビジネスももちろん、世の中でいちばん面白いゲームのひとつです」。きちんと落とし込んでいるわけです。

川上:いやいや、一応そこは公的な発言ということで(笑)。ゲームのほうが面白いですよ、やっぱり。もしこの現実がゲームだとしたら、クソゲーですよね。だって、実際のゲームなら、努力すると5分後とかにはもう褒美がもらえるわけですよ。ゲームなら、どんどんクリアして成長していくんだけど、会社は、決算とかに1年かかりますからね。

角川:しかも、褒めてくれる人がいないんだよな。

川上:そうです。誰も褒めてくれないんですよ。せめて社員ぐらい褒めてほしいな。社員は社員で、自分が頑張ったんだと思っているだけで、経営者を褒める心の余裕がないのです。

角川:(社員の方に向かって)「川上さん、今回はよく頑張りましたね」と1回言ってあげてください。それでどんなに喜ぶか。手の上で踊るよ、ほんとに。僕も誰も褒めてくれない。経営者は頑張って当たり前だと思っている。

川上:しょうがないから、もう自分で褒めるしかないみたいな感じで、評判が悪くなっていくわけです。

前回、『マトリックス』を扱いかねて、というお話がありましたけど、やっぱり角川会長自身がコンテンツですよね。KADOKAWAが角川会長を扱いかねていますよ。

角川:そんな(笑)。

川上:それで反乱が起こっていく。そこがおかしいです。

角川:僕が何かやろうとすると、みんな首をかしげるんだ。なんで初めからうなずいてくれないのかな。うなずいてくれたら、「あのとき僕は最初にうなずきました」と後から言えるのに。新しいことを提案すると、誰も賛成してくれない。会議になると、みんなシーンとしてしまって、なぜか僕の声だけがむなしく会議室に響き渡る。

川上:僕もそういう経験あります。たとえば僕が着メロサイトをやると役員会で言ったとき、みんな黙りこくって何も言わない(笑)。ニコニコ動画の時もそうですよ。みんな内心では反対しているのだけど、それも言えない。

角川:僕が川上くんの会社に行って、川上くんがこっちに来たらどうなのかと思うんだよね。

川上:変わらない気がします。お互いやっぱり孤立するだけで(笑)。 

(第5回は10月31日に公開予定です)

(撮影:西村 康〈SOLTEC〉  構成:田中幸宏) 

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