金正恩が「独特なヘアスタイル」を貫くワケ 会談直前!池上彰氏が北朝鮮の腹の内を解説

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2011年12月28日に行われた金正日の国葬では、金正恩と7人の幹部が霊柩車を囲んで行進しました。その7人の幹部のうち、なんと5人が2年後には粛清もしくは更迭されてしまいました。驚くべき速さです。とりわけ衝撃的だったのは、金正恩の後見人と見られていた張成沢(チャンソンテク)の処刑でした。張成沢は金正日の妹と結婚していて、金正恩は甥(おい)です。金正恩体制の実質的なナンバー2と見られていました。

このニュースを聞いた時、私は独裁国家のナンバー2の立場がいかに危ういものか、思い知らされました。かつて張成沢は、金日成が死去し金正日体制に替わった際、秘密警察組織を指揮し、1万人を処刑し、強制収容所や教化所(日本の刑務所にあたる)に2万5000人を送ったといわれています。

独裁者の命令で他人を粛清したものは、やがて自分も粛清される。上司の命令で部下をリストラした中間管理職は、やがて自分もリストラされる。そんな企業社会を思わせるような出来事でした。

韓国のシンクタンクによれば、金正恩がトップの座に就いてから5年間で、粛清された人数は340人に及ぶそうです。自分の周りをイエスマンで固める。独裁者の常道です。

2017年2月13日、またもや衝撃的な映像が世界を駆けめぐります。マレーシアのクアラルンプール国際空港で金正恩の兄、金正男がふたりの女性によって殺害されたのです。その瞬間を空港の監視カメラがとらえていました。

この時に使用されたのが、猛毒の「VXガス」です。皮膚に付着しただけでも死んでしまう恐ろしい殺人兵器です。北朝鮮の関与が濃厚ですが、北朝鮮は否定しています。マレーシアは、北朝鮮と仲のいい国でした。しかしこの事件をきっかけに平壌の在北朝鮮大使館を閉鎖。急激に関係が悪化しています。

人工衛星と偽りミサイルを発射

絶対的な権力を手にした金正恩は、国際社会に対し挑発行動を開始します。2012年4月と12月に、人工衛星打ち上げと偽ってミサイルを発射。2013年2月には、地下核実験を強行します。

さらに朝鮮戦争の「休戦協定」を白紙に戻すことを通告します。白紙に戻しただけで、破棄したわけではありません。いつでも協定を復活できる余地を残した発言でした。しかし北朝鮮との交渉に不慣れだったアメリカのオバマ政権は、深刻な事態だと受け止めます。B52戦略爆撃機を米韓合同軍事演習に参加させると発表。北朝鮮を脅しにかかります。

この頃から北朝鮮のアメリカに対する挑発行為が行われるようになります。

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