イタリア新政権誕生で始まる「EU離脱」の序章 ポピュリスト・極右政権発足が意味すること
こうした運動にはフランスにおける国民戦線、ドイツにおけるドイツのための選択肢(AfD)、スウェーデンにおけるスウェーデン民主党、オランダにおける自由党や、いずれも「ブリュッセル体制」に反発するポーランドとハンガリーの政府がある。新たな「反自由主義インターナショナル」は欧州の主要国の政権を占める新メンバーを獲得したのである。
欧州連合は数々の急進的な問題による重圧をかけられている。英国はEU離脱に突進しており、ロシアは政治的影響力の拡大を図ろうとしている。中欧諸国は主として助成金を維持する目的でEUに加盟し、米国の大統領はニクソンを踏襲して、イタリアだけではなく、欧州全体に対してまったく興味を払っていない。
自らが創立にかかわったEUと対立することに
「欧州合衆国」という野望は、現在フランスのエマニュエル・マクロン大統領1人のみが表明しており、破綻しかけている。イタリアは欧州連合の創立加盟国というだけではなく、かつてはドイツとともに、EUが民主主義支配を強化して戦後経済を成功させる場であると見なしていた。
それらの両目標をイタリア政府は成功させた。米ウォール・ストリート・ジャーナルが指摘するように、1970年代に成長の術を忘れるまでは。今や、生産力は低下し、賃金は停滞し、南北の対立は拡大し、政府は分断され、若年失業率は負債とともに急上昇した。現在イタリアにできつつある新政権は、イタリアには自国の政治と経済をコントロールできる未来を取り戻せると信じ、再び成長できると考えている。
新政権がその大胆さと意志とを保ち続けるなら、イタリア自体が創立にかかわり、今や自ら破壊するかもしれないEUと対立するという戦略を取るだろう。これは欧州の将来における戦いであり、ゆえに、21世紀の世界を形作るうえでの戦いもなるだろう。
(文:ジョン・ロイド)
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