イタリア新政権誕生で始まる「EU離脱」の序章 ポピュリスト・極右政権発足が意味すること
もう一方は、以前は北部同盟と呼ばれたレガ (同盟)である。同盟の前身は散発的に、北部の独立、つまり豊かな北部が過度に納めている税収を食い潰す貧しいイタリア南部からの開放を求めていた。
マッテオ・サルヴィーニが2013年12月にトップに就任すると、同盟は強烈な反移民的、EU批判的、イタリア国粋主義的な党として再出発。こうした政策によって党は一般大衆による投票の約17%を確保したことで、シルヴィオ・ベルルスコーニ元首相率いるフォルツァ・イタリアに3ポイント先行し、サルヴィーニは右派の指導的立場を主張することができた。
サルヴィーニは自身の立場に自信を持っている。彼は五つ星との協定締結に関して前首相と喧嘩別れした。両党の連立合意において、サルヴィーニはイタリアから50万人の不法移民を追放する考えを表明し、イタリアにはEUによって課された制限にかかわらず経済成長という道を追求する権利があると強く主張した。
学術の世界以外で知られていない人物が首相に
イタリアの将来の大部分は現在、合意された政策と自身らの内閣実現へのサルヴィーニとディ・マイオの執念に依存している。どちらが首相となるか合意できなかった末、学術の世界以外では知られていないフィレンツェ大法学教授ジュゼッペ・コンテを次期首相に任命した(組閣にはコンテ自身はほぼかかわっていない)。
コンテ政権のほとんどは政治経験がないが、EU加盟国、欧州委員会、そしてイタリア内からの圧力と抵抗、そして高まりつつある懸念に直ちに立ち向かわねばならない。イタリア国内ではセルジオ・マッタレラ大統領が、イタリアはEU参加国にとどまり、さらなる欧州統一に取り組まねばならないとする絶対目標を掲げている。
新政権には来るべき戦いにおいて、イタリアの有権者以外にも味方がいる。自らポピュリスト政権をもって任ずる欧州初の政府として、コンテ政権は他国の強力な運動におけるイデオロギー的な手本となっている。