まず、男女それぞれについてみると、男性の平均寿命が長いのは、滋賀県(81.78年)、長野県(81.75年)、京都府(81.40年)、女性は長野県と岡山県(いずれも87.67年)、島根県(87.64年)でした。一方、短いのは、男性は青森県(78.67年)、秋田県(79.51年)、岩手県(79.86年)、女性は青森県(85.93年)、栃木県(86.24年)、茨城県(86.33年)でした。男女差は、最も小さい都道府県で5.76年(愛知県)、最も大きい都道府県では7.26年(青森県)でした。
男性の平均寿命が最も長い滋賀県と最も短い青森県の差は3.11年、女性の平均寿命が最も長い長野県と最も短い青森県の差は1.74年でした。都道府県のバラつきの幅(標準偏差)は、男性が0.57年、女性が0.40年でした。
次に、男性の寿命と女性の寿命の関係をみると、平均寿命が長い都道府県は男女ともに長く、短い都道府県は男女ともに短い傾向がありました(相関係数は0.77)。男女ともに平均寿命が長い都道府県は長野県と滋賀県で、短い県は青森県でした。全国平均と比べて、福井県、愛知県等の中部地方は男性の平均寿命が長い傾向があり、岡山県、島根県等の中国地方や、沖縄県、熊本県等の九州・沖縄地方は女性の平均寿命が長い傾向がありました。
これらのことから、平均寿命は、都道府県固有の要因の影響を受けていると考えられます。
時系列の変化を見ると…
都道府県別の平均寿命の推移について、理想は、全体として伸びつつ、都道府県間のバラつきが縮小することだと考えられます。
そこで、2005年、2010年、2015年の平均寿命の推移をみてみましょう。
平均寿命の分布は、男女とも右側へシフトしており、全体として年を追うごとに伸びていることがわかります。また、都道府県のバラつきは、男女とも縮小傾向にあります。
平均寿命の差は縮小傾向にありますが、必ずしもすべての都道府県別で伸び続けているわけではないため、都道府県別の推移にも注意をしておく必要があります。
日本には、地域間での医療の水準や所得、生活習慣にそれほど大きな差はないと考えられているにもかかわらず、平均寿命に差がある原因については、古くから関心がよせられ、研究されてきました。長野県の長寿に対しては、県による食生活の改善や、公共機関を活用した社会活動の推進が、青森県の低迷には喫煙率、飲酒率、塩分摂取量の高さ等が影響していると考えられています(田辺和俊らによる2015年「平均寿命および健康寿命の都道府県格差の解析」季刊社会保障研究(国立社会保障・人口問題研究所)等)。
現在、健康格差の縮小や医療費の適正化にむけて、都道府県では地域にあった健康増進政策を実施しています。また、データベース整備が進み、疾病罹患や治療に関するデータが収集されつつあります。こういった取り組みによって、平均寿命の延伸と都道府県間の縮小が進むことが期待されます。
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