鉄道&ホテルで挑む「西武」ハワイ戦略の行方

空港―アラモアナの鉄道建設がプラス要因に

バブル崩壊後には、日本企業がバブル期に取得したホテルの多くが次々と安値で売却された。ただし、国際興業、三井不動産、ニュー・オータニの3社はハワイにとどまった。西武も撤退するどころか、1994年に4軒目となるホテル「ハプナビーチプリンスホテル」をハワイ島に開業し、むしろハワイ事業を強化した。

その西武も2004年の有価証券報告書虚偽記載に端を発する西武鉄道の上場廃止を契機に、プリンスホテル社員の早期退職や40カ所にも及ぶリゾート施設の売却・廃業といったリストラに追い込まれた。

ハワイをどうすべきか。西武ホールディングスの後藤高志社長は2005年にハワイを訪れ、すべてのホテルを見て回った。結論は、「ハワイはこれからの西武にとって必要不可欠な事業だが、一方で過大な施設もある」。その結果、マウイ島のホテルは売却し、ワイキキの1つとハワイ島の2つ、合計3つのホテルに絞って運営が継続されることになった。

60億円かけて大改装

ハワイ・プリンスホテル・ワイキキは開業から20年以上が経過し、競争力の衰えが目立ち始めたことから、2016年から2017年にかけ約5500万ドル(約60億円)をかけて大規模な改装を実施した。2017年4月にプリンス ワイキキと名前を改めてリニューアルオープン。ホテルのグレードをワンランク高めて客室単価の引き上げに成功した。さらにホテル従業員の業務権限を拡大し、自分の裁量でできる業務を増やしたことで、迅速なサービス提供が可能になり、宿泊客の満足度が高まった。

プリンス ワイキキのロビー。大規模な改装でエレガントに変身した(写真:西武ホールディングス)

西武の国際企画部担当者は「トリップアドバイザーでは、スタッフの迅速な対応を評価するコメントが多い」として、ソフト面の改革が奏功した点を挙げる。またプロモーション展開でも、窓からヨットハーバーが見えることを強調したところ、「ワイキキビーチから遠いというネガティブなコメントが減り、立地について好意的なコメントが増えた」という。

日本にいるとハワイには数多くの日本人が訪れていると思い込みがちだが、ハワイを訪れる観光客の約7割は米国人である。日本人の割合は全体の16%程度にすぎない。

一方で、開業以来、ハワイ・プリンスホテル・ワイキキの宿泊客に占める日本人客の割合はおよそ4割という状況が続いていた。日本人客を獲得するうえで、プリンスホテルのブランド力がある程度はプラスに働いていたことになる。

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