ドル110円前半、実需の売買交錯も方向感出ず 「5月中に111円台後半へ上昇の可能性」の声も

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 5月16日、午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、若干ドル安/円高の110円前半。写真は都内で2010年11月撮影(2018年 ロイター/Issei Kato)

[東京 16日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、若干ドル安/円高の110円前半。午前の取引では実需の売買が観測されたが、方向感を形成するには至らなかった。また、北朝鮮関連の報道や本邦GDPへの反応は限定的だった。

北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は16日、米政府が北朝鮮の核プログラム放棄を一方的に主張し続けるならば、北朝鮮は米国との首脳会談開催を再考するかもしれないと伝えた。市場は目立った反応を示さなかった。

この日は、輸入企業などからドル買いが入り、午前10時半ごろにかけて110.38円まで上昇した。買いが一巡した後は小幅に押し戻された。輸出企業や機関投資家などからのドル売りも観測されたという。

市場では「200日線を上抜けてようやく110円台に乗せているが、米長期金利が勢いよく上昇するようであれば、株価が足を引っ張られて一段安となる可能性がある」とFXプライムbyGMO常務取締役の上田眞理人氏は指摘する。

ただ、ドル/円では「円買いの理由はない」と同氏は述べ、ファンダメンタルズに裏打ちされたドル高が継続するか否かが焦点との見方を示した。

「110.10円台は底堅くなって、もみあいながら緩やかに上昇していくイメージ。5月中に111円後半への上昇もあり得る」(国内証券)との声も出ていた。

内閣府が朝方発表した1─3月期実質国内総生産(GDP)は前期比マイナス0.2%、年率マイナス0.6%だった。ドルは発表前の110.25円付近からわずかに上昇した。

日本の金融緩和政策の長期化が意識されるため円安要因との指摘があった。一方、それは黒田東彦総裁の発言などで織り込まれてきたとの見方もあり、相場を大きく動かすほどの材料にはならなかった。

ユーロは軟調地合いで、朝方の取引で1.1815ドルまで下落し、昨年12月下旬以来の安値を付けた。

「ユーロ圏の経済指標がいま一つで、ECBの9月量的緩和終了に延期論が出てきた。イタリアの政局不安もあり、1.16─1.17ドル程度までの下落もあり得る」(国内証券ストラテジスト)との声も聞かれた。

 

ドル/円<JPY=>  ユーロ/ドル<EUR=>  ユーロ/円<EURJPY=>

午後3時現在 110.24/26 1.1840/44 130.54/58

午前9時現在 110.29/31 1.1818/22 130.35/39

NY午後5時 110.34/36 1.1837/38 130.61/65

 

(為替マーケットチーム)

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