「勉強熱」がハンパない中国人の凄まじい実態 歌番組より勉強番組が人気という過熱ぶり
「具体的で専門的なスキルを身に付けることが目的ではなく、自分の土台をしっかりさせ、視野を広げたり、“気づき”を得ることが目的。日中双方の同世代の経営者と付き合ってみて、違いを感じるところは、中国人の『貪欲さ』です。
日本の経営者は1つの分野を突き進み、そのクオリティを高めていこうとする一本気なところがありますが、中国人経営者は、とにかくいろいろなことに果敢に挑戦してアグレッシブ。それがまた新たなエネルギーを生み出し、彼らの原動力になっています。私も彼らの変化に追いついていかなくてはいけない。そのためには、できるだけ違う業界の方と話をして、自分の頭を柔軟にすること、幅広い知識や教養を身に付けることが必要だと思いました」
「今の中国人は、日々洪水のように大量の情報を浴びています。でも、流れてくる情報の精査が必要だし、的確な情報にアクセスしたり、よい情報をキャッチしたりするために、自分自身の審美眼を磨かなくてはいけないのです。そのためにみんな必死。
レベルの高いビジネススクールに参加することは、そのためのひとつの手段。このビジネススクールでは、中国の著名な書道家や哲学者、デザイナーなど、普段は会う機会がない人の話を聞いたり、金融や貿易などさまざまな業界で活躍する経営者と知り合いになれて、ときには個人的な相談もできます。違う発想、違う視点を学べ、リアルにディスカッションできるところが大きな魅力ですね」
同スクールの講師で、企業経営者でもある銭自厳氏も「変化の激しい中国では過去の経験が通用しなくなっている。AIの急速な発達などは中高年が20代の若者から真摯に学ぶ時代。そのために、さまざまな分野の講師に来ていただいています」と語る。
毎日1時間以上、学習アプリで勉強する人も
日本でもバブル期後半の1980年代後半から1990年代前半にかけて、異業種交流会や各種セミナーが盛んに行われた時代があった。今でも「学習好き」の日本人の間では、モチベーションアップも兼ねて自己啓発セミナーなどはよく行われているが、中国では今、社会の激しすぎる変化についていくため、必要に迫られるような形で、学習セミナーが各地で開かれている。ビジネス意欲に燃えている経営者ならば、誰も彼も情報や知識に飢えているからだが、中国ならではといえるのは、スマホの学習アプリが大人気となっていることだ。
上海市内でエンターテインメントビジネスを手掛ける宋翔氏(36)は、毎日少なくとも1時間以上、学習アプリ「得到」(ダーダオ)のコンテンツを読むことに時間を費やしている。宋氏は留学を経て、新規ビジネスを立ち上げるため、4年前に中国に帰国したが「帰国していちばんよかったことは、こんなにすばらしい学習アプリに出合えたこと」だと断言するほど。もちろん、毎日ニュースアプリなどもひととおりチェックしているが、世界中の著名な著者(主に中国人)による深掘したエッセイなど読むことで、自分自身が大きく成長できたという。
アプリを読むだけで自分が成長できたとはどういうことだろうか。
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