野菜の限界を超えた?「ベジスイーツ」最前線

まったく新しい角度から見る野菜

2011年のある調査では、オハイオ州の4つの農場で収穫されたキュウリのブリックス値が2.2〜5.4%と大きく幅があり、同じような気候条件でも、栽培方法と土壌の状態によって糖度が大きく変わることがわかった。また、ニンジンやパースニップのような根菜は、冬の間、でんぷんを糖化して凍結を防ぐ。だから冬越しした野菜は甘くなるわけだ。

ニューヨークにモダンメキシコ料理店「エンペイオン」を3店舗展開するアレックス・ステュパクは、私たちの野菜に対する思い込みは、文化の影響が大きいと言う。たとえばルバーブは苦い野菜だが、伝統的にデザートに使われてきた。一方、トマト(厳密にはフルーツ)やセロリがデザートに使われることはめったにないが、実は多くの糖分を含んでいる。

アボカドも立派なデザートに

エンペイオンのミッドタウン店では、コーンアイスクリームタコスや、バナナのアイスクリームのリボン状ローストパースニップ添えなどのデザートがある。なかでも有名なのは、アボカドのパフェだろう。

あまりに創造的なエンペイオンの「トウモロコシのアイスクリームタコス」(写真:Empellon via The New York Times)

アボカドがデザートに使われることはめったにないし、パフェといえば卵の黄身と砂糖と濃厚クリームを使うのが普通だ。ところがステュパクは、クリームの代わりにアボカドのピューレを使い、アボカドの黒い皮に詰めて、まるで本物のアボカドのような見た目のデザートに仕上げた。

「私はアボカドの甘さが大好きなんだ」とステュパクは言う。「普通のアボカドを目を閉じて食べてみてほしい。ほのかなナッツの風味と、アニスかフェネルのようなスパイスを感じられるはずだ」

野菜のスイーツというとキャロットケーキがよく知られるが、普通のキャロットケーキはニンジンの味があまりしないとステュパクは言う。「シャーベットやアイスクリームにしたほうが、もっとニンジンの風味を感じてもらえる」。

あるときエンペイオンで、ニンジンのアイスクリームにニンジンのピューレを添えたデザートを出したところ、多くの人はオレンジとバニラのアイスキャンディーの味だと思ったという。「最高だった。みんな、それまで知らなかったニンジンの味を知ったわけだからね」。

ステュパクは自宅でもよく、2人の子どものために野菜をすり潰してケーキやクッキーを作っているという。「子どもに野菜を食べさせるには最高の方法だよ」。

(執筆:Tara Parker-Rope記者、翻訳:藤原朝子)
© 2018 New York Times News Service

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