”団地”は忘れていたものを思い出させてくれる


 夕食時には家族全員が食卓を囲み、つつましくも一家だんらんのひとときを過ごす。地域に一人はうるさ型の老人がいて、「ご近所付き合い」という名の濃密なコミュニティが存在する。そんな「古きよき昭和」が近年、再評価され始めている。

ブームの火付け役となったのが、2005年に制作された『ALWAYS三丁目の夕日』だ。昨年11月には続編が公開され、興行収入は前作(32・3億円)を上回る45・6億円を記録した。

同作品の阿部秀司エグゼクティブ・プロデューサーには、構想の当初からヒットの予感があった。「このところ、自分たち団塊世代が見る映画がなかった。団塊向けのエンターテインメントを作れば、100万人の動員は堅いと思った」。ふたを開ければ、前編の観客動員数は予想を大きく上回る284万人を記録。阿部氏は「パソコンやケータイもないのに、どうして楽しい生活が送れたのか。団塊以降の世代には、一種のファンタジーとして新鮮に受け止められたのではないか」と分析する。

『ALWAYS』が「古きよき昭和」を実際に体験した世代からの発信だったのに対し、最近は30代を中心とした若い世代が中心となって新たな「昭和ノスタルジー」が盛り上がりつつある。

10月中旬の土曜深夜、大阪市内のとあるバー。10畳ほどの狭い店内に、15人余りがひしめき合う。ここは、関西一円の“団地愛好家”たちが集まる「団地バー」だ。彼らが酒のさかなにめでるものは、おのおのが持ち寄った自慢の団地写真コレクションだ。

店のそこここで団地談義に花が咲く。客の大半が20代から30代。主催者の辻野憲一さんも1979年生まれの29歳だ。何が若い彼らを団地に引き寄せるのか。

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 実践!伝わる英語トレーニング
  • 晩婚さんいらっしゃい!
  • 野口悠紀雄「経済最前線の先を見る」
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ホンダ「4代目フィット」がイマイチ売れていない理由
ホンダ「4代目フィット」がイマイチ売れていない理由
京セラのガラパゴススマホ「トルク」がたどり着いた境地
京セラのガラパゴススマホ「トルク」がたどり着いた境地
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
「半導体パニック」自動車産業に与える巨大衝撃
「半導体パニック」自動車産業に与える巨大衝撃
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
これが世界のビジネス常識<br>会社とジェンダー

「ジェンダーギャップ指数ランキング2021」で日本は120位という結果に。先進7カ国中で最下位かつ、女性の社会的地位が低いとされるアフリカ諸国よりも下です。根強く残る男女格差の解消は、日本経済が再び競争力を取り戻すために必須の条件です。

東洋経済education×ICT