「継続成長」への決め手がないアップルの悩み iPhone頼みの構造は変わっていない

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アップルへの依存度が高い部品メーカーの業績は、iPhoneの好調という背景があったとしても、楽観視できない。特にディスプレイに関しては、サイズの違いに加え、iPhone XだけがOLEDを採用するなど、ディスプレイ方式の違いもあるため、アップルによる生産調整の影響を受けやすい。

アップル自身の業績に目線を戻すと、iPhone以外の事業領域でどう成長戦略を描けるのか?がもっとも大きな課題だろう。この点について、クックCEOはサービス事業の強化が功を奏していると話している。

サービス部門の売り上げもハードウエアと連動

インターネットに接続されているアップル製品は13億台を超えている。そうした、これまでにアップルが販売し、現時点でネットに接続されているデバイス向けにサービス事業を展開することで、ハードウエア販売とは別の成長軸を作るのがアップルの戦略である。

今回の決算ではApple Music、AppStore、iCloud、Apple Payの売り上げが31%増加したことや、Apple Watch series 3を中心とするウエアラブル製品の売り上げが好調だったことをアップル自身は強く訴えている。とくにサービス関連の売り上げは96億ドルとなりiPad部門の2倍以上の規模に成長した。

しかし、サービス部門の売り上げは自社製ハードウエアの普及台数によって変化し、サービスの質がハードウエアの売り上げに影響する強い依存関係がある。今年はAppStoreやApple Musicの改善、決済サービスの普及などに努めた結果、大幅な成長を果たすことができたが、サービス自身の拡充をどこまで続けられるかというと大いに疑問だ。

スマートフォン市場の緩やかな減速に対しては十分に対応できているが、さらなる成長持続を狙うためには、回復の兆しが見えつつあるiPadなどハードウエアデバイスにおけるいっそうの成長が必要である。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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