外国人観光客が日本を「面倒」だと感じる瞬間 観光立国フランスに比べて足りないものは?
そもそも、なぜフランスから学ぶべきか。それは、フランスが世界屈指の観光立国だからだ。2016年時点での外国人観光客数世界トップはフランスで年間8260万人と、2位の米国(7561万人)に700万人もの差をつけているほか、日本(2400万人)の約3.4倍にも上る。
今後、日本が観光立国を目指すうえで、フランスの取り組みは少なからず参考になるのではないか。
いつ誰が乗ろうが変わらない鉄道料金
さて、フランスと比べた場合、日本の観光政策やインフラに足りないのは、「柔軟性」「シンプルさ」「わかりやすさ」の3つではないだろうか。
まずは、柔軟性。今日、日本には世界各国からあらゆる人が訪れるようになっており、その目的やニーズは多様化している。日本もこれにあわせて、交通、宿泊、体験においてより多面的なサービスを展開すべきである。「日本の観光業は、団体で決まったところをまわるバスツアー的なマインドに基づいてサービスを提供している」と、日本の観光政策に詳しい小西美術工藝社長のデービッド・アトキンソン氏は語る。
たとえば、柔軟性に足りないという点で最も先に思い浮かぶのが鉄道である。日本全国に張り巡らされている鉄道は、時間に正確で便利だという反面、多くの観光客は高すぎるし、融通が利かないと感じている。たとえば、新幹線の料金は、使う人や使う時期、時間帯などにかかわらず、一定料金である。
一方、フランス国鉄(SNCF)は、料金体系こそ複雑だが、非常に柔軟なシステムを採用しており、旅行需要の多いハイシーズンの場合、早めに予約すればかなり安く抑えられる仕組みとなっている。実際、お盆に旅行するとして、今予約した場合、JRに比べてどれくらい「お得」になるか比較してみよう。
たとえば、8月11日に筆者と妻、3人の子どもを連れてパリからボルドーに行く場合、合計料金は170ユーロ、約2万2500円である。対して、東京から距離的に同じくらいの京都に行く場合の料金は、5人合計で11万3120円。なんと5倍である。
JR6社も外国人観光客に対しては、「ジャパン・レール・パス(JRパス)」を発効しており、「のぞみ」などを使わなければ、日本人よりはだいぶ料金を抑えることができるが、なんせこれの予約などが面倒くさい。
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