ダイハツ「軽自動車トップ企業」の強さと悩み スズキに水をあける独走態勢の裏側

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一方、積年のライバルであるスズキは、ここのところ登録車の販売を積極的に行っている。いまや「スイフト」「ソリオ」の2トップのほか、「イグニス」「クロスビー」「エスクード」「バレーノ」「SX4 Sクロス」など豊富にラインナップしている。グローバル戦略に関連して近年、軸足を軽自動車から登録車に移しつつあるのは、ダイハツが軽自動車市場で独走できている要素の1つといえるかもしれない。

ダイハツの登録車には、自社で開発・生産する「ブーン」「トール」と、トヨタからのOEM(相手先ブランドによる生産)調達している「メビウス」(トヨタ名:プリウスα)と「アルティス」(トヨタ名:カムリ)の4車種がある。ただ、ブーンはトヨタへ「パッソ」として、トールは「ルーミー」「タンク」としてそれぞれOEM供給し、セールスパワーの違いからも登録車販売は思うように伸ばせていない。

今後はダイハツブランドでのコンパクトSUVなどの新規ラインナップが予定されているとのうわさもあるが、やはりスズキ以上に軽自動車販売に頼らざるをえない状況にあるのもダイハツの台所事情だ。

軽自動車ナンバーワンメーカーの地位固めへ

ダイハツ軽自動車の看板車種でスーパーハイトワゴンのタントは、ホンダN-BOXやスズキ「スペーシア」が直近でフルモデルチェンジを行って古くささも目立つ。ただ、今年中にタントはフルモデルチェンジを控えているのに加え、「ミラココア」も同じく今年中にもフルモデルチェンジされるといわれており、ラインナップの強化で軽自動車ナンバーワンメーカーの地位を固めていく土壌は整っている。

今年中にフルモデルチェンジを控える「タント」(写真:ダイハツメディアサイト)

一方で、自動車販売の現場では「ダイハツ販売店には採算改善のプレッシャーがかかっている」という声も聞く。

いまや軽自動車に限らないが、自社届け出による販売台数の調整(上積み)はどの自動車メーカーでもやっている。販売ランキングや工場稼働率の維持などがその目的で、自社届け出された車両は未使用のまま中古車市場に放出(届け出済み未使用車)したり、しばらく試乗車や代車で使った後に中古車として展示するか、あるいはすぐに届け出抹消を行い海外に輸出されたりしている。

これに関連して、ダイハツがメーカーとして販売店の自社届け出を厳しくチェックしているという話も聞こえてくる。100台単位でオーダーが入るような場合が特にそれに当たるようだ。車両本体の値引き額を引き締めようという動きもみられる。

利益を重視すれば、台数は伸び悩むかもしれない。いまの軽自動車では、どんなに人気車であっても自社届け出による届け出済み未使用車は流通している中で、ダイハツは販売台数と利益をうまく両立させるという難しい舵取りを迫られてもいる。

小林 敦志 フリー編集記者

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こばやし あつし / Atsushi Kobayashi

某メーカー系ディーラーのセールスマンを経て、新車購入情報誌の編集部に入る。その後同誌の編集長を経て、現在はフリー編集者。

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