当コラムでこれまでも指摘してきたが、財政健全化に固執する「緊縮思想」にとらわれた、メディアや一部市場関係者は、世界的にみると極めて特異な認識を持っていると筆者は常々考えている。
トランプ政権下での米国経済で財政赤字が増えて、今後何が起きるのかを客観的に見ていくことは、未だに2%インフレ実現という経済正常化を実現できていない日本において、妥当な経済政策が何であるかを冷静に考える大きな判断材料になるだろう。
新体制下での日銀の金融政策決定会合に期待
さて日本銀行の金融政策については、いよいよ4月26、27日に黒田東彦総裁が2期目に入って初めてとなる金融政策決定会合が行われる。日銀による景気、インフレなどへの認識は前回から大きく変わっていないため、金融政策は現状維持と予想される。
一方、同会合は雨宮正佳氏、若田部昌澄氏の2人の新副総裁が参加する初めての会合でもある。2016年9月から続くイールド・カーブ・コントロール(YCC)による金融緩和の枠組みがしっかり機能しているのかを含めて、改めて幅広い議論が行われる可能性がある。
米国金利は上昇しているが、為替市場において一時1ドル=104円台までドル安円高が進む場面があった。足元ではドル円相場はやや落ち着いているが、米国金利が上昇している中で円高期待が高まっており、YCCが期待どおりの効果を発揮しているとは言い難い。先に述べたように財政政策が緊縮的になり国債発行が減少していることも、YCCによる緩和効果が減っていることを意味する。
もし枠組みの見直しに時間がかかるとすれば、効果が低下しているYCCを補強する手段として、日銀は2%インフレへのコミットを明確にするガイダンスを強化することが必要だ。このことはまた、市場の一部で「年内に実施も」とささやかれている「10年金利の誘導水準早期引き上げ」観測を打ち消すことにもなる。こうした議論が、新たなメンバーとなった会合で検討される可能性があると筆者はみている。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら