「ITオンチの管理職」が迷惑でしかない3理由 「文系だからいい」ではもうすまされない
(2)「カネ払ってるのはこっちだぞ」:レピュテーションの低下
上記の話とも関係しますが、ITを活用する場合、通常はベンダーの方々と共同作業をすることになります。
一口にベンダーと言ってもさまざまな人がいます。大手のSIer企業もあれば、ベンチャー企業、中にはフリーランスの方もいるでしょう。また社内で働いているIT関連のスタッフも、正社員ではなく契約社員あるいは派遣社員ということもあるはずです。
こうした人々に対してITオンチの管理職がやりがちなのが、「こっちは発注者なんだから」といった不遜な態度をとってしまうことです。表面的には丁寧でも、実際には無礼な物言いをする人もいます。本来、自分が不得意なことを得意とする人材にはリスペクトを払って当然なのですが、上から目線になりがちなのです。
おカネだけで人が動く時代ではない
そうした対応を好む人はいないでしょう。また、彼らは組織の壁を越えて情報を共有する傾向がほかの職種の方に比べても強くあります。そうすると何が起こるか?
結論から言えば、自社組織の評判がどんどん悪くなっていくのです。組織の垣根がどんどん低くなるこれからのオープンな時代に、何かを成し遂げるうえで求心力となるのはワクワクするようなビジョンと信頼です。おカネだけで人が動く時代ではありません。
世界レベルの時価総額上位企業をIT企業が占める事実からもわかるように、今はITがビジネスに大きなインパクトをもたらす時代です。こうした背景で、若いITコミュニティの人々からの評判が悪くなることは会社の成長性を自ら閉ざしているようなものです。
「人を機能と見る偽善」という言葉があります。ITが重要な時代だからこそ、それを担う人材を人としてリスペクトし、Win-Winの関係を構想・構築しながら事を成し遂げる、謙虚なリーダーシップが必要なのです。
(3)「急がなくてもいいんじゃない?」:スピードの鈍化
ITオンチの管理職がもたらす3つ目の弊害は、新しいビジネスモデルを生み出せないということです。これは言い方を変えれば、新しい成長機会に気がつかないということです。
おそらく、新しいビジネスモデルを提案してくるのは、比較的若手の方が多いのではないでしょうか。
たとえば自社の商品に安価なセンサーをつけてIoTの手法で付加価値を上げたり(例:靴にセンサーをつけることで負荷を測定し、疲れない歩き方を提案する)、新しい課金モデルを作るといったものです。場合によってはこれまでの延長線上にない、まったく新しい提供価値やプロセスからなる新ビジネスを提案する若手もいるかもしれません。
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