小田急「複々線後」の新ダイヤは十分ではない 改正から1カ月、改善すべき点が見えてきた

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ロマンスカーのない時間帯は新宿着7時34分~9時16分から7時40分~8時42分へ狭まったものの、朝ピーク上りにもロマンスカーが運行し着席サービスが提供されるとの期待もかなわなかった。本厚木→新宿のような長距離区間の座席を長距離移動者が長時間利用している状況は変わっていない。着席ニーズは確実にあるはずだ。

また、「総工費3100億円に対し年間50億円の増収効果では投資効率が低く、関連事業を伸ばすべき」という新聞報道もあったが、鉄道事業の増収効果はもっと大きくできるはずだ。

3月31日、町田の書店「久美堂」と拙著『満員電車がなくなる日 改訂版』の版元である戎光祥出版の主催による鉄道トークショー「小田急線ダイヤのさらなる改善を考える」を開催し、多数の方にお越しいただいた。会場でお受けした貴重なご意見も反映しながら当日の発表をさらに改善し、以上の課題の解決策を示そう。

「千鳥停車」は優れもの

トークショーで大きな賛同を得られたのが千鳥停車である。町田や新百合ヶ丘のように2線に交互発着できる駅を除き、規則的に3本に1本を通過させる。列車から見ると3種別を設定し、規則的に3駅に1駅を通過する。

千鳥停車により線路容量を向上できる(筆者作成)

これにより、車両の加減速性能、信号の能力、駅での最大停車時間を同じにしたままで、手品のように線路容量を30%程度増やせる。高速道路の料金所にて、ETCの普及により一部の車が通過することで交通容量が上がり、車線数が同じままで渋滞が生じなくなったのと同じ理屈である。

同時に、3駅に1駅を通過し、かつ先行列車へ詰まらないことのメリットも大きい。所要時間が、各駅停車より短く、多駅を通過しても先行列車への詰まりの大きい優等列車と同じくらいになる。

会場からは「乗り間違いの原因になるのでは」との質問が出たが、「ダイヤ改正前は経堂で昼の急行は停車する一方でピーク時の準急は通過していたし、改正のたびに列車種別が増えたり減ったり同種別の停車駅が変わることに比べたら、決して難しくない」と説明したら、ご理解いただけた。

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