バブル世代が考えるべき「老後3つの選択肢」 60歳が近づいてからでは遅すぎる

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ずっと家にいるAさんに対して、痺れを切らした妻からは、とうとう「外に行ってください」と言われてしまいました。そのため、Aさんは今では仕方なく近所の図書館で時間を潰す日々を送っています。「図書館には学生が勉強をしに来るもの」と思っていたのが、周りを見渡すと、自分と同じように時間を持て余したシニア男性がたくさんいたといいます。行き場をなくしたAさんは、仕事以外に楽しめる何かを現役のときに作っておけばよかったと激しく後悔したそうです。交遊する友だちもなく、何をしていいのかわからない……。年金も月10万円ほどなので、頻繁に旅行するわけにもいきません。

ここであえてお聞きしますが、読者の皆さんは、リタイア後の時間について考えたことがあるでしょうか。女性の2人に1人、男性の4人に1人が、90歳まで生きる時代です。これから医学はさらに進歩し、エイジングケアもどんどん進化していくので、さらに多くの人がますます元気に、長生きすることが予想されます。人生を100年と想定すると、60歳でリタイアした場合、残り40年間というとても長い時間が待ち受けています。リタイア後の余生は、働いていたのとほぼ同じ年数もあるのです。

「自由な時間が楽しい」のは最初の3カ月だけ

実際、自由になる時間はどれくらいあるのでしょうか。現役時代、1日10時間働いていたとすると、40年間で14万6000時間になります。ここから土日祝日、正月休み、GW休み、夏休みを除くと、さらに短くなります。それに対して、リタイア後の自由時間は、1日24時間から睡眠時間の8時間を除くと、23万3600時間もあることがわかります。働いている時間よりも多くの時間が残されていることがわかります。

Aさんも、余生がこんなに長いとわかっていれば、それなりの準備をしていたかもしれません。とにかく、Aさんは退職を区切りと考えて、それを待ち遠しく日々を過ごしているだけでした。本当は2年の延長もしたくなかったのですが、娘の学費のためにと頑張りました。やり切った思いでセカンドステージに入ったわけです。

退職後の3カ月ほどは、自由な時間がうれしくて、楽しく過ごせたそうです。しかし、目標や夢を持たない生活はだんだん退屈なものに変化していきました。

Aさんのように、せっかくの自由な時間を後悔しながら過ごさないために、今からどのように考え、行動していけばいいのでしょうか。

60歳は新しいステージに変わるときです。リタイア後の生きがいや健康、そして経済の面から考えてみましょう。それには60歳ではなく、できるだけ早い内から考えるに越したことはありません。

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