「1年以内に辞める若者」が続々生まれるワケ 3年よりもっと早くに辞める心理

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大手転職紹介会社=いわゆるエージェントには入社1年以内に会社を辞めても「まったく問題ない」と思わせるほどの求人数が集まっています。さらに「3年は我慢しろというのは間違い。3年は長い。我慢してやる気がさらに下がるくらいなら、早く辞めて次の仕事に就くほうが幸せになれる可能性が高い」等と、早々の退職を促すメッセージが転職サイトで随所にみつけることができます。

ならば、転職相談にいってみよう……とエントリーしてみると、入社1年以内は新卒扱いとする会社を何社も紹介されます。入社した職場で思った仕事ができない状態になったとき、学生時代の就職活動のやり直しが可能だと言われたら……転職を決断したくなるのは自然なことかもしれません。

それだけ今の若者は、入社した会社でしばらく我慢して可能性を探ることをしなくなっているということは、会社側が理解しておく必要があります。

若手人材の採用に困っている

それだけエージェントが入社1年目にも積極的に転職を促すのは、企業が若手人材の採用に困っているから。でも、お互いが採用に努力した社員を失う状態になっているともいえます。さらに2020年までは景気が右肩上がりと予想される中、求人数も増加。入社1年目での退職率がさらに上昇する可能性もあります。さて、会社側はどのように、この問題に向き合うべきでしょうか?

最近は日本を代表する総合商社や金融機関でも1年以内に退職する新入社員が目立つようになってきたようです。会社としても入社早々に退職する社員を想定していないので、職場での混乱も起きていると聞きます。

新入社員から「思っていたのと違う」と見切られ、辞められる前に、

・入社前から職場環境の説明を行う

・入社後のキャリアカウンセリング

などコミュニケーションを増やして、“ギャップ”を埋める取り組みを増やすことが重要ではないでしょうか。

ただ、もう1つ考えておくべきなのが、人事や職場の上司・先輩社員がどれくらい丁寧にケアしても1年以内に辞める新入社員はいるということ。もはや入社時点でのお互いの価値観がミスマッチであった可能性があります。こうした1年以内に辞めてしまった社員の特徴について分析をし、1年以内退職予備軍はそもそも入社させないという発想も必要かもしれません。

最近の学生は自分なりのキャリアプランを事細かに描く傾向があります。このプラン通りにならないのであれば辞めるという意思が強く、会社が期待通りのキャリアプランを提供できないとすれば、そもそも採用することはお互いにとって不幸な結末になるともいえます。入社後のケアだけでなく、採用時点での対策も行い、1年以内に辞める新入社員を極力減らしていきたいものです。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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