将来5割減?「オフィス」に迫り来る構造変化

不動産大手がベンチャー支援を始めるワケ

不動産大手各社がスタートアップやベンチャー企業への支援に一斉に乗り出したのは、企業が積極的に取り組み始めた働き方改革によってオフィス市場に構造変化が起きつつあるからだ。政府が2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて普及に力を入れているテレワークの導入などで、従業員1人当たりの専用オフィススペースが4割から5割縮小するとの試算も出ている。

理由は簡単だ。テレワークを導入するには、通信回線を通じてどこでも仕事ができるように企業は業務システムをクラウド化することになる。当然、オフィス内でも端末とスマートフォンがあればどこでも仕事ができるので、従業員1人ひとりにデスクと固定電話が必要ということはなくなる。フリーアドレス制でデスクスペースを効率的に使えるようになれば、1人当たりの専用オフィススペースは大幅に削減できるというわけだ。

マイクロソフトはスペースを約4割削減

実際に5年前から本格的にテレワークを導入して働き方改革を進めてきた日本マイクロソフトは、品川の本社オフィスで従業員1人当たりの専用オフィススペースを約4割削減することに成功した。

マイクロソフト製の共同作業ツールを活用したワークスペース(筆者提供)

今年1月に大手町パークビルに本社を移転した三菱地所も、社員同士の連携を促進するためのラウンジやカフェ、コンビニなどの共用スペースを全体の3割(旧本社では1割)にしながら、全体のオフィス面積を2割削減した。移転に合わせて社内システムをクラウドに切り替えてテレワークを導入。やはり従業員1人当たりの専用オフィススペースは約4割縮小した計算だが、「実際に移転してみると、まだスペースに無駄がある」(久保人司総務部長)と、その効果は予想以上だ。

実は働き方改革がオフィス需要に大きな影響を及ぼすことを不動産各社が認識するようになったのは、つい最近のこと。三菱地所は、他社に先駆けてベンチャー向け施設「グローバルビジネスハブ東京」を2016年7月に開設していたが、「働き改革の影響を実感したのは2016年秋ごろ」(幹部)と打ち明ける。国内最大の超高層オフィスビル「常盤橋再開発プロジェクト」を発表した1年後のことだ。

すでに不動産各社は、2020年の東京五輪招致を機に大規模再開発プロジェクトを進めており、今年からは新規オフィスの大量供給が始まる。そこに入居する予定の企業が移転に合わせて働き方改革を実施すれば、オフィス床面積の縮小は避けられない。

追い打ちをかけるように人間がデスクワークで処理してきた定型業務を自動化するRPA(ロボティックス・プロセス・オートメーション)の導入も昨年から本格化しており、定型業務を処理していた人員のスペースも不要になる。今後、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)が本格導入されるようになれば、オフィスでの働き方はさらに変化していくだろう。

「いずれ1人当たりの専用オフィススペースは半減すると予想している。余った床をどうしたら借りてもらえるのか。できることは何でも試してみるしかない」(NTT都市開発)と、危機感を募らせているのだ。

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