eスポーツの高額賞金、阻んでいるのは誰か

消費者庁は「景品表示法は問題なし」との見解

さまざまな要因があるようですが、法律上の問題として高額賞金が受け取れないとしたのは、ユービーアイソフトの『レインボーシックス シージ』のPC版プロリーグがアジア太平洋まで参加地域を拡大するという告知がその1つであることは間違いなさそうです。

『レインボーシックス シージ』の告知。最下段に日本チームに向けた賞金の授受に関する注釈が書かれています(画像:ユービーアイソフト公式サイトより)

昨年6月に掲載されたその告知にはPC版『レインボーシックス シージ』のプロリーグ「シーズン3」がアジア太平洋地域まで参加地域を拡大して開催すると書いてあります。

日本、韓国、東南アジア、オーストラリア・ニュージーランドの4地域が新たに参加可能になり、その4地域でオンライントーナメントが開催され、各地域のベスト2に残ったチームがシドニーで開催されるオフライン大会に招待され、アジア最強を決めるというものです。

この告知の最後に「※日本チームが優勝した場合、日本の法律の都合上、賞金を受け取ることができません。あらかじめご了承ください」との注釈が書かれていました。

どの法律に抵触するのかは書かれておらず、そのことが読者に憶測を呼ばせ、景品表示法に行き着いた可能性があるわけです。

このことについてユービーアイソフトに伺ったところ、「該当するおそれがあると弊社が考えた法律は『景品表示法』で、特に景品規制に関する項目です。本件についてはユービーアイソフトの顧問弁護士と相談のうえで、賞金の受け取りに関する規定を設けました」との回答を得ました。つまり消費者庁の指導によるものではなく、独自判断で行ったということです。

これまでも景品表示法の景品規制に関する項目に抵触しそうなゲーム大会は何回か行われていましたが、消費者庁から指導があったという話は聞いたことがありません。消費者庁の景品表示法関連報道発表資料でも、eスポーツ大会やゲーム大会で消費者庁が指導したという記述は見つかりませんでした。

2004年に東京都内の広告会社が麻雀大会を企画し、優勝賞金を150万円用意したところ、その賞金の一部が参加者の参加費から賄われていることがわかり、警察庁から賭博罪にあたるとの指導が入ったこともありました。

参加費を賞金に充てることは賭博罪を適用されてしまうので、当然と言えば当然ですが、警察庁からの指導という実例が示されたわけです。賭博罪と違い景品表示法には実例がないことを考えると、やはり法律の解釈を独自に判断し、自主規制的に賞金額を下げたり、日本人のみ受け取りができないようにしたりしたのではないでしょうか。

日本人選手も安心して海外の大会へ参加できる

何はともあれ、興行性のあるeスポーツの高額賞金が「景品類」に該当しないとわかったことは朗報です。これによりゲーム会社も大手を振って大会を運営し、賞金を出すこともできますし、日本人選手も安心して海外の大会に参加することもできます。

JeSUが発行したプロライセンスは、このまま肩書だけのものにしてしまうのはもったいないので、高額賞金を得るためではなく、海外で活躍しやすくなるようにいわゆるアスリートビザの取得がしやすくなるなどで使えるようにシフトチェンジしてはどうでしょうか。

当然、トップクラスの人が活躍するためだけでなく、これから伸びていくであろう若手に世界大会を経験させる意味において、大会での好成績を残した選手といった基準も取っ払い、申請するすべての選手に発行できるようにしたうえでのことですが。

ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 御社のオタクを紹介してください
  • 岐路に立つ日本の財政
  • 自衛隊員も学ぶ!メンタルチューニング
  • 日本野球の今そこにある危機
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
激突! アサヒvs.キリン<br>「正反対」のビール戦略

2020年に豪州最大のビール会社を買収するアサヒグループHD。国内縮小を見越し「スーパードライ」集中でグローバル化を強化する。一方、キリンHDは化粧品・健康食品のファンケル買収などで多角化を推進。正反対の戦略の成否は? 両社トップに聞く。