eスポーツの高額賞金、阻んでいるのは誰か

消費者庁は「景品表示法は問題なし」との見解

結論から言うと、興行性のあるeスポーツ大会の賞金は「景品類」に該当しないと考えられるとのことでした。前述のようにいくつか質問を用意していたのですが、いきなり1つ目の質問ですべてが解決です。

大会上位者のプレーに対する賞金は「仕事の報酬」

では、なぜ興行性のあるeスポーツ大会の賞金が「景品類」に当たらないのかというと、大会における上位者のプレーに対する賞金は「仕事の報酬」と見ることができるからです。高額賞金が発生するeスポーツ大会は多くの人に見られています。大会を勝ち進み、高額賞金を手にする可能性がある上位選手のプレーは、見ている人を感動させたり、楽しませたりすることができ、仕事とみなすことができるというわけです。

EVO Japanでの『ストリートファイターV アーケードエディション』予選トーナメントの様子(筆者撮影)

JeSUでの見解も、仕事の報酬とすることで景品表示法を回避するとの判断かと思われます。仕事の報酬=プロゲーマーという観点からプロライセンスの発行に至ったのではないでしょうか。

しかしながら「景品類」に該当するかどうかは、景品表示法で定められた運用基準で、「仕事の報酬」に当たるかどうかによって判断する、というのが消費者庁の見解でした。つまり仕事の報酬に関してはプロもアマも区別がないということです。JeSUがゴルフのプロアマの賞金獲得を例に出して、プロ化することで高額賞金を得られると説明していたのは、ミスリードと言わざるをえないかもしれません。

景品表示法は1962年にできたもので正式には「不当景品類及び不当表示防止法」と言います。法律ができた当時は景品に関して細かい規定が設けられていなかったのですが、1977年に「景品類等の指定の告示の運用基準について」という項目が設けられました。

その「景品類等の指定の告示の運用基準について」には8つの項目があり、5項目の(3)に「取引の相手方に提供する経済上の利益であっても、仕事の報酬等と認められる金品の提供は、景品類の提供に当たらない(例 企業がその商品の購入者の中から応募したモニターに対して支払うその仕事に相応する報酬)」と記載されています。

この5項目(3)により、興行性のあるeスポーツ大会に参加するプレーヤーのパフォーマンスは仕事として認められ、優勝賞金は仕事の報酬とみなされるようになるわけです。

一方で労働の報酬ということになれば、労働可能年齢に達していない子どもが高額賞金のeスポーツ大会に参加し、好成績を収めたことで賞金を得ることに問題はないのでしょうか。仕事の報酬と認められなければ、景品規制がかかるのではないかという疑問も湧いてきます。このことに関しては現時点では法的には整理されておらず、景品表示法上は、特段の要件はないとのことです。

労働基準法によると満18歳未満の年少者を1日8時間、週40時間を超えて働かせることを禁止しており、午後10時から翌日午前5時までの深夜に労働させることは禁止されています。したがって、大会の開催時間が拘束時間だと考えると、1日8時間以内で週5日以上続かず、深夜帯に大会を行わなければ、労働可能年齢に達していない子どもでも参加し、高額賞金を受け取れることになります。

では、なぜ景品表示法によって日本では高額賞金が受け取れないという話が出回ったのでしょうか。

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