生活スタイルの変化によってエンゲル係数が上がっている分もあるのではないかという点について、いくつかの視点で見てみたい。まず、エンゲル係数の分子である食料支出を「外食、調理食品」とそれ以外に分けた。共働き世帯の増加や高齢化によって材料から家庭で調理する世帯が減少していることで外食・中食が増加しているのであれば、エンゲル係数(外食、調理食品)の上昇率が大きくなるはずだが、そのようにはなっていない。
なお、エンゲル係数の推移を年齢別で見ると、高齢者層のエンゲル係数が特に上昇しているわけではない。一方、共働き世帯の増加による生活スタイルの変化が影響している可能性がある「35~39歳」ではほかの年齢層よりも上昇した。全体への影響は大きくないが、一部では生活スタイルの変化がエンゲル係数に影響しているのかもしれない。
円安による輸入物価の上昇が家計を圧迫
エンゲル係数を年収別で見ると、年収の低い層ほど上昇幅が大きく、家計の圧迫度合いが大きい。生活スタイルの変化によって外食が増えたりする場合は、収入の多い層から変化が起きるとみられるが、そのような動きにはなっていない。
2013年以降のエンゲル係数の上昇については、生活スタイルの変化によってもたらされたというよりは、総じて円安による輸入物価の上昇などを背景に家計が圧迫されてきたと考えることができるだろう。
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