トヨタがEVシフトに見せる尋常ならぬ危機感 豊田社長「これは生きるか死ぬかの戦いだ」
手始めとなったのが、トヨタが昨年9月にマツダ、デンソーとともに設立したEVの基盤技術開発の新会社「EV C.A.Spirit」(EVCAS)だ。ここには、トヨタ18人、マツダ16人、デンソー2人に加え、今年から4社(SUBARU、スズキ、ダイハツ、日野)が加わり、総勢約60人のエンジニアが集結した。複数の自動車メーカーやサプライヤーが開発初期の段階から協力するのは異例だ。
EVCASで注目すべきは、規模がまったく違うマツダが、トヨタとほぼ同じ人数のエンジニアを派遣していること。EVは当初の販売台数が少ないとみられ、「トヨタは大量に同じモデルを売ることでビジネスをしてきたため、少量生産のノウハウがない。マツダは少量生産でビジネスを成立している。ぜひ学びたい」と、トヨタでパワートレーン開発を担当する安部静生常務理事は話す。EVCASの取締役は全員がトヨタ出身者だが、「EV共同技術開発リーダー」の役職を任されているのはマツダの藤原清志専務だ。
「新会社は2年限定。それで一区切りとしたい」。トヨタ幹部は各社にそう伝え、スピード重視の姿勢を鮮明にしている。少し前までトヨタ幹部は「EVを競って早く出しても仕方がない」としてきたが、ここに来て様変わりした。
車載電池大手のパナソニックからも力を借りる
続いて打ち出したのがパナソニックとの提携だ。
「日本で生まれ育った両社が電動化の時代をリードしていく思いを形にしたものだ」
昨年12月13日の記者会見で、豊田章男社長はパナソニックの津賀一宏社長とそろって登壇。EVの「三種の神器」とされる電池、モーター、インバーターのうち、最重要となるリチウムイオン電池で世界最大手のパナソニックと提携した意義を強調した。
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