「プリウス」が絶対王者ではなくなった理由 2017年普通乗用車トップ車種に隠れた苦悩
現行4代目プリウスが正式発売となったのは2015年12月。筆者の調べでは同年9月から予約受注販売を開始しており、正式発売してから半年以上の間は大量のバックオーダーを抱えていたが、それ以降は解消されたようだ。3代目は2009年5月のデビューから20カ月もの間、乗用車ブランド通称名別ランキングの首位に立ち続けたが、4代目はその半分の期間となる当初10カ月しかトップを守れなかった。
一時は半年以上納車待ちにもなった4代目は現時点でほとんど即納状態のようで、年度末決算のセール中ともあって値引き額も大きめになってきている。
2017暦年の月販平均1万3400台について、トヨタ系販売店のセールスマンからは3代目の記憶もよぎるのか、「そんな勢いで売れているようには感じない」との声も聞かれる。真偽のほどは定かではないものの、「レンタカーやカーシェアリングなど向けのフリート販売や、登録済み未使用車だけでなく、ディーラー名義で初度登録を行い、代車などで短期間使用した走行距離の少ない中古車などが、トヨタ系の枠を超えた中古車専業店でも目立ってきている」と新車販売に詳しい事情通はささやく。
ハイブリッド車の需要が分散化
4代目プリウスが国内乗用車の絶対王者といえる存在ではなくなってきているのには、いくつかの要因があると筆者は考えている。
まず、3代目の時代よりもトヨタ自体のハイブリッド車の選択肢が増えた。自販連によれば、2017暦年の乗用車ブランド通称名別ランキングのトップ10内にトヨタ車は計6車(「プリウス」「アクア」「C-HR」「シエンタ」「ヴィッツ」「ヴォクシー」)がランクインしている。これらはいずれもハイブリッド車仕様をラインナップしている。つまりトヨタ内でもそれだけハイブリッド車の需要が分散化してしまっている。
たとえば、カローラにハイブリッド車が設定されたことが、プリウスから営業車としてのニーズを一部食ったという指摘がある。時代錯誤と言われるかもしれないが、日本では全幅が1700mm超の3ナンバーサイズの車に乗っていることで、「儲かっている」「景気がいい」「お金持ちだ」などと見られたくないと、得意先に忖度する事業者も一部いるようで、3ナンバーのプリウスよりも5ナンバーのカローラのほうがその点は有利になる。
カローラにはセダン(現行は「カローラ アクシオ」)だけでなく荷物がたくさん乗るワゴン(同「カローラ フィールダー」)もあり、営業車として考えたときに燃費に大きな差がないのなら、プリウスではなくカローラハイブリッドを選ぶ事業者も少なくないのだろう。
エコカーの選択肢がプリウス以外にも広がったのも要因といえる。3代目デビュー時点ではホンダのハイブリッド車「インサイト」が唯一無二の競合車種だったが、今は「エコカー」も多様化している。
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