強気姿勢の黒田総裁、これからが正念場 異次元緩和の効果に強気

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消費増税決定、異次元緩和と歯車かみ合う

大規模な国債買い入れを通じて長期金利に低下圧力をかけ続けるには、日本財政への信認が大前提となる。これまでも総裁は政府の財政規律維持の重要性を繰り返してきたが、安倍晋三首相が1日、来年4月からの消費増税を表明。「意義ある大きな決断」と評価した。同時に政府が決定した5兆円規模の経済対策も「成長率のプラス要因」。アベノミクスの「第一の矢」と位置づけられている異次元緩和と政府の取り組みの歯車が噛み合い始めたことも、総裁の自信につながっているとみられる。

期待転換に綱渡り続く

4日の会見では多くを語らなかったが、9月20日の講演で総裁は、金融緩和を通じて期待インフレ率を引き上げることについて「世界的にも過去に例のない課題に対する挑戦」と語った。15年近くデフレ状況が続く中、人々のデフレ期待を変えるのは「容易なことではない」というのが本音だ。

期待上昇の重要なポイントとなる賃上げは、政府と経済界、労働界による政労使協議を含め、来年にかけて、これから本格化する。その実現には現在の景気回復基調が継続し、企業収益が増加していく環境が維持されることが前提となるが、回復持続に不可欠な外需は、新興国を中心に海外経済の改善がもたつき気味だ。市場では、これまでマインド改善をけん引してきた株高・円安も一服している。総裁は会見で、現行の異次元緩和の継続によって、物価目標の達成は可能との見解をあらためて示したが、根強いデフレマインドの転換に向けて金融政策運営も綱渡りが続きそうだ。

(伊藤純夫 編集 橋本浩)

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