「東大合格の秘訣」を野球部・浜田監督が伝授 野球も勉強も勝手に限界を作ってはいけない

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部活動で疲れているときでも、得意な科目や好きな科目なら勉強できます。そういうときに苦手な科目をやろうとしても、なかなか頭には入りません。

得意な科目が伸びると、苦手な科目も自分からやってみようという気になる。ここがポイントです。「苦手だから克服しなければいけない」という気持ちと、「やってみたい」という気持ちでは、勉強する効率がまったく違います。

東大に受かりたいなら、部活動はやめるな

東大に合格することが目標なら、高校時代は部活動をせずに勉強に集中した方がいいという考え方もあるでしょう。たしかに、部活動を続けながら勉強するとなると、勉強時間を確保しにくいというデメリットはあると思います。

ところが、私の経験では「受験勉強をするから」という理由で部活をやめた生徒の学力は、その後にあまり伸びていないことが多いのです。私は部活動と受験勉強の両立には大きなメリットがあると考えています。

その1つが達成感です。部活動を最後までやり切った生徒には、達成感があります。すると、また次の達成感を味わいたくなる。その気持ちが集中力につながります。

2つめが「締め切り間際の法則」です。仕事をしている方は「締め切り間際で仕事がはかどった」という経験があるのではないでしょうか。締め切りまで余裕があるときの仕事は「アレもコレも」と詰め込んでしまい、見返すとかえって無駄が多いものです。

部活動を続けながら受験勉強をしている生徒は、締め切り間際の状態からスパートをかけることになります。例えば高校で野球をやっている場合、高校最後の大会で敗れた後の7月末から大学入試センター試験が実施される1月中旬までは約半年しかありません。そうなると、「これで勝負するんだ!」という武器を作ろうと必死になる。それ以外のものは割り切って捨てることができます。合格の秘訣として「得意技を1つ作れ」と前述した理由はここにもあります。

3つめが上下関係です。これは合格の秘訣として挙げた「基本をおさえる」と「身近なお手本」の2つに関わるものです。部活動をしていれば、お手本となる先輩を見つけやすい。また、自分が後輩に教える経験もできる。こういう縦のつながりは、部活動をやっているからこそ得られるものだと思います。

現在の東大野球部には、小学生時代に水泳とピアノと野球をやっていたという部員が多くいます。昨秋のリーグ戦で三塁手として活躍した山下朋大(教育学部3年)もその一人です。山下は東海高(愛知県)出身。高校3年の夏まで野球を続け、1年浪人した末に東大に合格しました。彼は合格までの道のりをこう話しています。

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