泰明小「アルマーニ」は本当に"高すぎる"のか 中央区立小学校の標準服の実態とは?

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ただし泰明小は公立学校。入学に当たって、所得制限があるわけではない。1学年の児童数約60人のうち、学区外から通学する50~55人は公平な抽選で決められる。一部には所得面で苦しい家庭が通わせている例はあるため、配慮が必要なことは変わりない。

しかし、学校関係者を取材すると、「泰明小の新標準服の価格は必ずしも高すぎるとはいえない。実は、苦情を言い立てるほどのものではない」こともわかった。

中央区には他にも標準服が高額な学校がある

中央区内の公立小16校のうち、14校が標準服を採用している。中央区教育委員会は、「上着」「ズボンまたはスカート」「シャツまたはブラウス」「スクール帽子」の4点を基準に、各公立小の標準服の価格帯を調査中だ。

一方、泰明小の新標準服でアルマーニがデザインしたのは、「上着」「ズボンまたはスカート」「シャツまたはブラウス」の3点だ。また、泰明小は保護者に対し、「上着」「ズボンまたはスカート」「スクール帽子」の3点以外は、市販の代替品でも構わないと伝えている。

こうした状況を踏まえ、「上着」「ズボンまたはスカート」「シャツまたはブラウス」を一般的なサイズで夏用・冬用および長袖・半袖の両方そろえた税込価格を「標準服の価格」と定義すると、泰明小の新標準服(身長130センチサイズ)の価格は男子=5万5080円女子=6万0264円となる。

泰明小の標準服を取り扱っている松屋銀座によると、現在泰明小で採用されている標準服(カンコー製、身長130センチサイズ)の価格は、男子=1万8295円、女子=1万9806円となる。新標準服の価格はこれに比べて男女とも3倍にもなる。

これだけをみると、泰明小の新標準服は「高すぎる」ような印象を受けるが、ほかの小学校と比較すると、印象が大きく変わる。

実は、中央区立小学校のうち、2校(A校とB校)の標準服は、決して安くないのだ。前述の定義に従ってアイテムをそろえた場合、A校では男子=4万1796円女子=4万5306円、B校では男子=3万4128円女子=4万2444円にもなる。

女子の標準服の価格を参考に比べると、泰明小の新標準服との価格差は、A校=1万4958円、B校=1万7820円。泰明小の新標準服の価格が最も高いことは間違いないが、突出して高すぎるともいえない水準だろう。

同教育委員会が前出の調査を始める前に記者が標準服の価格を各学校に問い合わせたところでは、標準服を採用している14校のうち7校は、1万5000~2万7000円だった。残りの7校については価格を開示しなかった。

この7校について「上着」「ズボンまたはスカート」「シャツまたはブラウス」の合計金額かどうかを確かめる必要があるが、いずれにせよ泰明小の新標準服が登場する以前に、価格が4万円を上回るような「高い」標準服を採用している小学校があったことは知っておくべきだろう。

2月22日時点で泰明小の新入生の保護者はほとんど標準服を購入しており、新標準服が廃止されるような事態にはならない。今回の騒動が落ち着きをみせたところで、今一度、冷静に「学校の標準服問題」を考えていく必要があるだろう。

加藤 弥 編集者、ライター

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かとう わたる / Wataru Kato

1982年生まれ。HMV渋谷→読売新聞→日テレNEWS24→チケットぴあ→朝日新聞出版→教育新聞→東洋経済オンライン編集部。影響を受けた作家は、アガサ・クリスティー、スーザン・ソンタグ、メアリー・マッカーシー、須賀敦子、米原万里。一番思い出深い取材は、宇宙飛行士・向井千秋さんへのインタビュー。

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