西武球団「ドーム大改修」鉄道に効果はあるか 40周年を機に本拠地を「ボールパーク化」

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多摩都市モノレールでも、2017年3月31日から6月30日までの期間中、埼玉西武ライオンズ一色に装飾した「Lモノレール」を運行したほか、昨シーズンは「多摩モノレール&バス往復乗車券付 メットライフドームプロ野球観戦セット券」を販売した。同社総務部事業課は「今後も西武ライオンズと協力し、『観戦セット券』販売を続けていきたい」と期待する。筆者としては、3月10日に運行開始する「拝島ライナー」に使用する40000系の「L-train」化と「Lモノレール」を同時に実施すれば、大きな効果が見込めると考える。

一方、西武沿線を含む埼玉県および県内のすべての自治体も持続可能な地域経営を実現するために明確な街づくりビジョンを広く社会に明示し、ライオンズを含むステークホルダーと連携することが望まれる。

連携協定を締結した自治体のひとつである埼玉県秩父市は「市内在学の小学生・中学生や市外からの転入者へのライオンズ観戦チケット引換券の配布や野球教室等の開催、ライオンズのフレンドリーシティであることをPRする懸垂幕の市役所庁舎への掲出を行っており、市民から喜ばれている。引換券はライオンズのご厚意によりご提供いただいており、大変ありがたいと思っている」(市長室 地域政策課)と感謝の意を示す。

埼玉の「誇り」となるために

メットライフドームの周辺とその外観。ボールパーク化ではドーム前広場の刷新も計画されている(写真:Kunihisa Ogawa / PIXTA)

鉄道のさらなる利用促進のためには、引換券を渡すだけで終わらせることなく、たとえば西武鉄道乗車券と引換券を西武球場前駅などで同時に提示することでライオンズグッズのプレゼントを贈呈する特典を検討してはどうだろうか。ボールパーク化により魅力が高まるメットライフドームをテコに、西武鉄道を利用した球場観戦を促すことが、西武鉄道とライオンズの利益を増やし、結果として鉄道および球団が存続する形で地域に利益が還元されるのである。

そして、「埼玉」を冠する球団として、西武ライオンズが埼玉県民の誇りとなることができるかどうかは、2021年3月に完成予定のボールパークを機軸とした鉄道・球団・地域の連携をどれくらい拡大できるかにかかっているといってよい。そして、ファンサービスをさらに増やし地域密着の球団となることが、西武グループと地域の持続的発展につながるはずだ。記念事業が、西武グループと地域・ファンが絆を再確認する契機となることを期待したい。

大塚 良治 江戸川大学准教授

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おおつか りょうじ / Ryouji Ohtsuka

1974年生まれ。博士(経営学)。総合旅行業務取扱管理者試験、運行管理者試験(旅客)(貨物)、インバウンド実務主任者認定試験合格。広島国際大学講師等を経て現職。明治大学兼任講師、および東京成徳大学非常勤講師を兼務。特定非営利活動法人四日市の交通と街づくりを考える会創設メンバーとして、近鉄(現・四日市あすなろう鉄道)内部・ 八王子線の存続案の策定と行政への意見書提出を経験し、現在は専務理事。著書に『「通勤ライナー」 はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』(東京堂出版)。

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