株安の裏側で渦巻く「債券バブル崩壊」の恐怖 もし起きたら日本は大きな影響を受ける

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そしていま、この債券バブルが弾けようとしている可能性がある。

問題は、この債券市場のバブルが崩壊したとき、どんな影響が出てくるのかだ。とりあえず、金利上昇によって、株式市場が暴落の危機にさらされることがわかったが、この程度の影響で済むのか。そのあたりの見極めを誤ると大変なことになるのかもしれない。

米国よりもっと怖い日本の債券バブル崩壊?

債券バブル崩壊によって何が起こるのか。最もわかりやすいのは、金利が高騰(債券価格は下落)して株式市場が下落する、というメカニズム。そのほかにも為替市場で金利が上昇する通貨の変動幅が大きくなるなど、さまざまな弊害がもたらされてくる。

たとえば、1994年のメキシコ危機は米国の利上げによって資金が米国に流失し、通貨のペソが暴落。通貨の暴落をきっかけにメキシコが急激なインフレや失業率の悪化に陥っている。

同様に、1997年に起きたアジア通貨危機も、米国の金利上昇と直接の関係はないが、米ドルとリンクしていた通貨が売り浴びせられて下落。タイ、インドネシア、マレーシア、韓国といったアジア諸国の通貨が売られて経済危機が起きた。

要するに、米国の株価が下落したのは「債券バブル崩壊」の前兆である可能性があるということだ。そういう意味では、今後起こることに注視する必要がある。もともとリーマン・ショックは米国が発生源であり、その対応も早かった。したがって、相場の歪みが現れるのも米国が真っ先になる可能性が高い。

そのシナリオとは何か。残念ながら、未来のことは誰にもわからないが、これまでの歴史を繰り返すとすれば、いくつかのシナリオは想定できる。たとえば――

➀米国の金利の引き上げが続く
➁ドル高傾向が強まる
③株価は調整局面を繰り返す
④新興国で通貨下落による経済危機が頻発する
⑤不動産価格、資源価格、仮想通貨などの価格が低迷する
⑥地政学リスクがいま以上に高まる

債券バブルの崩壊によって日本に何がもたらされるか。日本の場合、世界的な規模で債券バブルが崩壊した場合、最も大きな影響を受けることになりそうだ。たとえば、株式市場と債券市場の比率を見ると、先進国の平均では株式、民間債券、政府債券の比率がほぼ同程度だが、日本の場合は全体の6割以上が政府債券によって占められている。

それだけ、日本国債の発行比率が高いことを意味しているわけだが、ある意味で日本は歪んだ証券市場と言っていい。言い換えれば、“政府債券バブル”がずっと続いてきたことを示している。

世界の債券バブルが崩壊すれば、日本の政府債券バブルも崩れる可能性が高まる。実際、このところの株価急落で、本来であればもっと円が買われて円高になるのが普通だが、為替市場があまり反応していない。さすがにここにきて1ドル=106円台にまで円高が進んできたが、米国の債券市場で起きていることの影響が、日本でも起きつつあるのかもしれない。

債券バブルの崩壊という事態が訪れないことを祈るばかりだ。

岩崎 博充 経済ジャーナリスト

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いわさき ひろみつ / Hiromitsu Iwasaki

雑誌編集者等を経て1982年に独立し、経済、金融などのジャンルに特化したフリーのライター集団「ライトルーム」を設立。雑誌、新聞、単行本などで執筆活動を行うほか、テレビ、ラジオ等のコメンテーターとしても活動している。『老後破綻 改訂版』(廣済堂出版)、『日本人が知らなかったリスクマネー入門』(翔泳社)、『「老後」プアから身をかわす 50歳でも間に合う女の老後サバイバルマネープラン! 』(主婦の友インフォス情報社)など著書多数。
 

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