「ロンドンのバス」は、どうして真っ赤なのか 使用している赤の種類は「パントン485C」

拡大
縮小

バスが塗られている赤色は公式に色番が決まっており「パントン(Pantone)485C」と呼ばれる色となっている。ちなみに色の混ぜ合わせは、RGB(赤緑青)では218/41/28、四色分解のCMYKでは0/98/100/0となる。

第一次大戦中に走っていたバス。2階部分に立って乗れるが屋根はない(2014年6月催行のバス展示イベントにて、筆者撮影)

ロンドンバス以外に「パントン485C」がどんなものに使われているかと調べてみた。同様の赤で塗られている最も親しまれているものは「郵便ポスト」だろう。一方、電話ボックスの色構成を調べるとバスの赤とは若干異なり、赤色と黄色が薄めとなっている。

しかし、「ロンドンバス=赤い」という定説は徐々に揺らいでいる。そもそも屋根は真っ白に塗られている他、側面には広告があり、実際に赤色部分は車体全体の30%強だという。

さらに最近では「フルラッピング広告」が頻繁に行われている。外から見るとこれっぽっちも赤い部分がない「真っ赤なはずのロンドンバス」があちこちに走っている。

パトカーは赤くも白くもない

「周りから見て『バスだ』と目立たせたいから赤にした」という経緯がある中、英国の公共サービスに使われる車が何でもかんでも赤色をしているか、といえばそうでもない。消防車こそ赤色だが、パトカーは「黄色と青色の市松模様」だ。規定によると、「500m離れていても、それがパトカーとわかる視認性を求める」という規定が設けられており、それを追求したところ、2色の市松模様になったということだ。

今でも「ヘリテージルート」で活躍する「ルートマスター」 (筆者撮影)

ロンドンに内燃機関(エンジン)付きのバスが走り出してから100年以上が経った。1954年に登場したルートマスターは全部で2800両生産されたが、ワンマンカーへの切り替えが進んだことでほぼ全部が廃止された。現在は、わずか2路線に「ヘリテージルート」として残るに過ぎない。

一方、ロンドンでは2012年2月、「ニュー・バス・フォー・ロンドン」と呼ばれるハイブリッド仕様の新しい2階建てバスがお目見えした。これは、ワンマンバスとして使える仕様を維持しながら、後方からも乗り込め、2階にも上がれるようにドアを追加したもの。座席には新たなデザインのモケットが貼られ、室内照明はLED電球を使用、温度調節機能が付いた換気システム(クーラーではない)が備えられているが特徴だ。あまりに車内の居住性が良く、公共交通機関としてはオーバースペックの感もあるが、市内を2階座席からのんびりと楽しむには良い乗り物ではないだろうか。

次ページバスは現金で乗れない
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT