「ロンドンのバス」は、どうして真っ赤なのか 使用している赤の種類は「パントン485C」

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ロンドンではバス乗車の際、一部の路線を除き現金は一切使えず、乗客は非接触式ICカード「オイスター」、もしくは紙の1日乗車券を買って乗るかどちらかとなる。ちなみに地元住民は、銀行のキャッシュカードでバスや地下鉄に乗ることができる。現金乗車を思い切ってやめた結果、運転手への業務負担が大幅に減少できただけでなく、現金収受がないことにより、運転席をプラスチック製のバリアで乗客が乗るエリアと運転手を隔絶できるようになった。かつては乗客による運転手への「ちょっかい」が頻発したこともあったが、しっかり分けることで運転手をトラブルからより確実に解放することができる。

1時間以内なら何度乗り継ぎもOK

ロンドン市内の自家用車等による渋滞削減のため、ロンドン市役所は市民に対して積極的に公共交通機関へのシフトを呼びかけている。そのための施策は、このほど運用が開始された「1時間以内ならバス乗り放題」というルールだ。オイスターカードを使って乗ると、最初の「ピッ」から1時間以内の乗り継ぎならどれだけ乗り換えても良い。間に地下鉄など鉄道区間の乗車を挟んでも、とにかく時間内なら無料でバスが利用できる。

この大胆な運賃体系は、ロンドン市長のサディク・カーン氏の父親がそもそもバスの運転手だったことに由来するともいわれる。この「1時間乗り放題」を受け、同じ路線を走る類似路線を削ったり、長距離路線を途中で打ち切るといった施策を打ち出したりすることができるようになった。そして何より「どこまで行っても1.50ポンド」というルール変更で、低所得者が街に出る機会が増えたことはいうまでもない。

ロンドンではバスが地下鉄を補完する役割を担い、住宅地だけでなく街の中心から郊外に向けて様々なルートを走っている。ただ、あまりにもたくさんのルートがあって、観光客が使いこなすには難しいのが現実のようだ。とはいえ、街のアイコンとして人々に強い印象を与える真っ赤なロンドンのバス。象徴的な存在としてこの先も走り続けることだろう。

さかい もとみ 在英ジャーナリスト

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Motomi Sakai

旅行会社勤務ののち、15年間にわたる香港在住中にライター兼編集者に転向。2008年から経済・企業情報の配信サービスを行うNNAロンドンを拠点に勤務。2014年秋にフリージャーナリストに。旅に欠かせない公共交通に関するテーマや、訪日外国人観光に関するトピックに注目する一方、英国で開催された五輪やラグビーW杯での経験を生かし、日本に向けた提言等を発信している。著書に『中国人観光客 おもてなしの鉄則』(アスク出版)など。問い合わせ先は、jiujing@nifty.com

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