小田急vs京王「多摩の陣」で最後に笑うのは? 春のダイヤ改正で通勤スタイルが様変わり
ロマンスカーに対抗すべく、京王も座席指定列車「京王ライナー」向けに、5000系という新型車両を用意した。同社にとって新型車両の導入は16年ぶり。座席を横掛けのロングシートと、特急列車のように前方を向くクロスシートの両方に転換することができるのが特徴だ。見掛けは普通の通勤列車だが、全席電源コンセント設置、無料公衆無線LAN(Wi-Fi)など、ロマンスカーに負けないサービスが、京王ライナーの売り物だ。
小田急より安い座席指定料金にこだわる
京王ライナーは新宿を出発すると、特急停車駅である明大前、調布といった主要駅を通過して、府中や京王永山までノンストップで走る。座席指定料金は一律400円。「他社が300~500円くらい。割高感があると乗っていただけないので、この価格を設定した」と紅村社長は説明する。
新宿―府中間(21.9km)に相当する小田急・新宿―新百合ヶ丘間(21.5km)の特急ロマンスカー料金は410円なので、小田急よりも10円だけ安い。新宿―橋本間(38.1km)に相当する小田急・新宿―大和間(39.9km)の特急ロマンスカー料金は510円。京浜急行電鉄の通勤ライナー「京急ウィング号」の座席指定料金一律300円にはかなわないが、小田急よりも安くすることにはこだわった。
小田急は朝の通勤時間帯も特急ロマンスカーを運行しているが、京王が今回設定したのは平日夜の下り方面だけ。紅村社長は、「初めての導入であり混乱がないように、まずは平日夜の時間帯から始める」と慎重姿勢を崩さない。とはいえ、「朝の早い時間帯でも(運行は)可能」としており、「朝だけでなく高尾山口方面への導入などいろいろなパターンが考えられる」とも発言。今後の展開に含みを持たす。
高尾山はミシュランガイドで最高評価の三ツ星を獲得しており、週末に走らせれば観光需要も期待できる。運行の実質初年度となる2018年度は難しそうだが、2019年度以降には、京王ライナーが朝夕問わず駆け巡る姿が見られるかもしれない。
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